マッキでございます。3機ですな。ながく懸案だったイタリア機、その迷彩を筆でという課題でしたが、後半で健康面のトラブルが突如出来したので時間がかかってしまいました(涙)。例によって、製作うんぬんよりも、ほんの少しの事実をちりばめた虚構のお話がメイン(笑)ですので念のため。(^^; よしなによしなに。

まずはC.200。パシフィックコースト社製のこの1/48キットは簡易インジェクションなので、それなりに手間はかかりますし原場合わせの部分も盛り沢山ですが(汗)、なによりその実機に「似てる!」度合いが高いので吉。多少クセのある、最初はあまりかっこいいと思えないよーで実はとってもキュートでセンスのいい機体ラインが、実に素晴しく机上で再現できます。添え物のロバはペガサスホビーズ社製農場の動物セットより、自転車はエアウェーブ社製エッチング。 

モニタ上で色が調整むずかしー。orz  上の、ロバと一緒にうつってる画像のほうがより机上の現物には近いですな。ホワイトバランス狂ってるなぁ。うひ。水平安定板上のパラシュートは自作。塗りは例によってエアブラシ+筆。デカールは寄せ集め。ピトー管は厄介な形状でしかも両側ですが、今回は某P達人より拝領の手作り@ハンダ細工でクリア。m(_ _)m

キットですと風防部の形状がこの塗装機とは違うので、少しいじってあります。他、いつものように手際悪く作ってヘタクソに塗ってますが御勘弁。(^◇^;)

さてと、食後の1杯もこれで準備よし。さあ爺ちゃんの膝においで。暖炉の前はあったかいぞ。孫と話せば寿命ものびるってものさ。アーモンドみたいないい匂いがする?  だめだめ、まだ酒は早すぎる。今夜はなんのお話をしようかね。ん? また昔話がいいか。そうか。スペインへ行った話はこの前したっけか。じゃあ今日はロシアへ行った話だ。そう、ロシア。爺ちゃんは昔、ロシアまで行ったのさ。オンボロの飛行機で。遠い、遠いところじゃったよ。スペインよりもずっと遠い気がしたっけ。

そりゃあもう、見渡す限りの野っ原でな。ここじゃあ東の山から昇ったお日様が西の海に沈むじゃろう? ロシアは違った。野っ原の向こうから朝陽が昇って、野っ原の上をぐるっと廻って、そんでもって野っ原の向こうに夕陽が落ちる。なんにも無い野っ原、ただそれだけのところじゃった。そんな所に爺ちゃんたちは飛行機で遥々でかけていって、ひと冬を越したのさ。食べ物も飲み水も十分には無い、もちろんろくな酒も無い、動物もいない。あー、いや、どこから来たのか基地にいついたロバがいたな。鶏も少し。それに乳をしぼる牛が3頭。まるで世界から忘れられたような、そんな場所に飛行機の基地があって、基地と言ったって掘っ立て小屋みたいな兵舎と整備所に通信所、野っ原につったった吹き流しの柱だけじゃったが ね。

夏はすぐに秋に、秋もすぐに冬になったさ。春までの長い長い夜は厳しかった。空でロシアの飛行機と取っ組み合うより、冬の寒さをしのぐほうが辛かったな。整備の連中のなかには、凍てついた工具に手の皮を持っていかれたり、きつい凍傷で指をやられたのが何人かいたっけ。この国でも北部出身の人間はまだしも、わしらみたいな南部出身者にはとりわけきつかっ たさ。それで、わしはもしこの戦争を生き残ることができたら、必ず暖炉のある冬も暖かい家に住もうとな、決めたんじゃよ。

そんな地の果てでも、短い短い秋の日の夕暮れは忘れられん。そりゃあでっかい夕日がな、ルイジの店のピッツァほどもある夕日が真っ赤になって、さっきまで薄茶にくすんだみすぼらしい姿だった野っ原が一面に黄金色になって風に波打つのさ。ほら、このグラスを暖炉の火にかざしてごらん。そうそう、だだっぴろい野っ原がそんな深い色にキラキラ輝くんじゃよ、地平線までずーっと果てもなく。

冬は雪の白と灰色の空だけ。他にはなにもなかった。あの冬ほど春が待ち遠しくてたまらんかったことは無いさ。無論、その間も飛行機を飛ばしてはおったがね。なんでって、そりゃおまえ、飛ぶのが爺ちゃんの仕事だったからさ。こんな案山子のマークをつけた飛行機でな。このセーターは婆ちゃんがお前に編んでくれたんだぞ。この幸運のマークを編み込んで。そうとも、この案山子のお陰で爺ちゃんは無事に帰ってこれたのさ──

さて、セーターを持って、そろそろ子どもは寝る時間だ。爺ちゃんはまだ今から部隊の50周年記念祭の招待状へ出席の返事を書かないといかんから。さ、ベッドに入る前に、ちゃんとお祈りをして。今日もいい日じゃった。ああ、おやすみ。

添え物の酒瓶はアマレット。とてもよい香り。

ハセガワの202は、この1/48シリーズでも傑作に入るんじゃないでしょうか? 今回は塗装違い、セリエ違いで2機いっしょに。この濃緑に茶斑のはセリエIII、左舷の灰色部(銀とも?)はマルタ上空での損傷修理痕。空冷の200も粋ですが、この202の洗練は格別かと。

シルエット気味にしてラインを強調。ロングノーズ/ショートデッキという、現代までスポーツカーのプロポーションでも代表的文法とでも言えるような、そのバランスを飛行機にするとこうなるといった印象。キットでは、実機と比較するとほんのわずかにコックピットから垂直尾翼までの距離が短いようにも思えますが、それによりさらにプロポーションが強調されてカッコヨロシ。よく見ると、おそらく脚カバーまでデザインが入ってますな。200のほうも、あの空冷エンジンを無視して機体ラインを延長してやると、それは見事な紡錘型をしているんですが、やはり202はさらに上を行く感触。ともに空を飛ぶ乗物としての性格が非常に強くて、武器の本性がそれに抑えられてるような。その点では、同時代を飛んだ各国のどの機体よりも純度が高い気がしますなぁ。

このセリエIIIなんかの初期タイプは、キットの素性がもともと205とのコンパチゆえに後期型主体なので要注意。ネット上にはその相違個所をきちんと教えていただけるページもあるので(驚)、活用させていただきました。ただし、そのページの作例たるや超絶をさらに超える代物なのでご用心。たいへんな逸品であります。

http://www.features02.kitparade.com/c202ws_1.htm  参照。

おう、今日は早いじゃないか。もう上がりかい? ああ、今グラスを。へ? これから娘っ子をひっかけに? かぁーっ、ついこないだまで学校通ってた小僧がよく言うよ。だいたいなんだ、その髪は。流行り? けっ、あのな、格好良いってのはそんなもんじゃないぜ。格好良いってのはな、形じゃぁなく生き方そのものだってんだ。姿や形は後から付いてくるのさ。この俺だって若い頃は──ああ、いや、もっと格好良い連中がいたっけ。こりゃあかなわねぇやってくらい格好良いやつらがね。みんな、さっさといなくなっちまいやがったが。空から降りて来ねぇんだから仕方な──ああいや、こっちの話。気にすんなって。

さ、この1杯は俺のおごりだ。あ〜、ダメダメ、そんな女みたいな飲み方じゃダメだ。こう、くいっと粋にあおらないと。そうそう、それでよし。さあ、それじゃさっさと男を磨きに行きな。形じゃねぇぞ、いいか。 ──うへぇ、なんだいあの走らせ方は。あれじゃエンジンが腐っちまわぁ。

おや、大佐、いらっしゃい。へ? 今の小僧ですか。元気は良いんですがね。でも考えてみりゃあ、飛びはじめは、みんなあんな小僧の頃でしたっけねぇ。はい、いつもの1杯。どうで す、この綺麗な透き通った赤は。わたしゃこの頃、あの逝っちまった連中の血はこんな風に透明だったんじゃないかって思うことが有りますよ。濁りなんざこれっぽっちも無かったろうって。

ときに大佐はシスティーナへ行かれたことは? ああ、それならもちろん御存知でしょう、あの大きな絵。そうそう、あれ。わたしゃ以前にあの絵を見た時、もう驚きましてね。いや、最初はわかんなかったんですが、なにか気になってじっと絵のあちこちを眺めてましたらね、主のお傍にひげ面のビスコンティ少佐が。ええ。左の奥には斜に構えたドッリオ大尉もいるじゃないですか。するともう、そこにあの中尉、こっちにあの少尉って具合で、みんな礼拝堂の壁や天井の絵の中に。いやいや、下へ向いて落ちてくんじゃなくって。そうそう、上へ──

逝っちまった連中ってのは、ほんの一時だけこの地上で仕事をして、それが済むとまた上へ帰っちまったんだろうなってね。で、大佐やこの俺は、まだこっちで何かやることが残ってるんですぜ、きっと。それを済ませたら、また皆と一緒に上で、今度は好きなようにいつまでも飛べますって。またあのきゅんとした鼻ッ先の可愛いマッキで飛びたいですねぇ。そうだ、この次は機体を好きな色に塗りましょうや。そうですねぇ、わたしゃこんな感じの透明な赤がいいな。それでベスビオを見下ろして思う様すっ飛んでやりたいねぇ。

赤い夕日の、いい夕暮れ時になって来ましたね。おかわりはいかがです? 

添えた酒瓶、こっちはカンパリ。絵のほうは本邦テレビ局が復元に尽力した最後の審判@ミケランジェロ。当然、復元は近年ですので、物語の中でのイメージはくすんだ古い姿ではあります。

到底アップには耐えないのもいつものことですが、ごまかしつつのネット画像だと雰囲気だけは?(^^;  2005年の小池さんカレンダー、その中にマルタ上空でバンクするこの機の絵が。そもそもそれがマッキ大会の切っ掛けだったわけ。あんな風に塗りたいなとはじめてはみたけれど、ですね(涙)。画面では不明ですが(汗)、地色はオレンジ風味やや強めに、環ッかはくっきりめにしてみました。3機それぞれに、同じ黄土や濃緑じゃなく、全部微妙に色調が変えてあったり、また2色とみえて実は4色だったり6色だったり、3色とみえて実は9色使ってあるなんてぇのは全くの自己満足オンリーで意味不明でございますね。orz

以下、蛇足そのもの。


202の赤い酒の瓶はお馴染みのカンパリ。酒名で検索かけると一目瞭然でしょうが、これのソーダ割りをくいっと粋にあおって野郎どもは夕刻を向かえるとかなんとか。
http://members.jcom.home.ne.jp/stolas/campari.htm
苦味の切れ味が薬用っぽいですね。

200のはアマレット。同様にイタリアのリキュールで、香りも味もさらりと甘い癒し系。 これとウイスキーのカクテルが「ゴッドファーザー」。
http://members.jcom.home.ne.jp/stolas/disaronno.htm

今回のお酒2つは、ともに伊太利の代表選手でした。

さらに搭乗者それぞれですが、200のビロン少尉はイタリア空軍のロシア方面作戦中でのエースのおひとり。あの隊の案山子マークは、彼のデザインとのこと。スペイン経験者。(スコアはロシア方面で最低4機、本土防衛戦@ナポリ方面?でさらに4機)  小情景の木札にある「Mosca」はモスクワの伊太利語、あの機の配備地@現ウクライナ?からだいたい900kmくらい。ローマやナポリは反対方向へ、その倍近くです。 ロシアでも比較的南なので(冬季平均気温零下5度くらい)、小文に書いたような 寒さはなかったかも。

202、茶色斑濃緑機@アンノーニ中尉もエースのおひとり。機体は彼の乗機10機あまりのうちの1機。中尉は独逸空軍のマルセイユさんが202を試乗した時のお世話係。(スコアは9機。作例機の左舷グレー部はマルタ上空での損傷部修理痕)ちなみに、その飛行でマルセイユ氏は着陸失敗、胴体着陸の形になっちゃった模様。

202、緑のわっか迷彩機@ドッリオ大尉はイタリアのエース達の中でも、特に翼の女神の申し子みたいなひとで、戦前すでに民間のテストパイロットであり飛行教官であり、また飛行に関する世界記録も複数打ち立てたりレースで優勝したりという逸材。どうも僚機のタラントラ准尉機(Dai Banana!)のほうが有名みたいですが、あの隊の隊長としてマルタ航空戦で激闘、最後はカナダのエース中のエース、バーリングに 撃墜された模様。空中爆発で遺体は確認されずとのこと。(スコア7機)

<参考文献>

すみませぬ、今回は画像@集合写真で御勘弁をば。ほかにお仲間から強力無比な絶版写真集複数や同じく絶版マーキング本、あるいはスミソニアンの実機画像、さらにサイトのご紹介などもいただいたのも、いつもながら感謝にたえませぬ。m(_ _)m

サイト;

http://www.finn.it/regia/index.htm

(2006年2月1日初出)



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