いわゆるCBI方面、我が庭(笑)の1機であります。インドはアッサム方面に展開してビルマ北部方面への作戦行動に勤しんでたカーチス製鷹兄弟のK型。毎度ながらの今回の「キモ」は、この機の塗装がグレーであるという従来設定の再現ですな。今やグレーじゃなく普通にオリーブドラブ/ニュートラルグレーでしょうと言われてはいるものの(汗)、逆に言えば本機のカラー写真が残ってるわけでもない(グレーを完全には否定しきれない)んで。(^^;  ちなみに同じ部隊が後に装備したN型なんかはカラー写真が残ってまして(撮影地がアッサムでは無いとしても)、いちじるしい土ぼこりをかぶって灰色っぽくなりつつも明らかにOD塗りでありますので念のため。またこの機体は1944年時と紹介されてる記載がありますが、同隊は43年後半に雲南方面へ移動してるようなので43年時かしらと愚考。(紅茶好きにはお馴染みのアッサム地方、そこは南にかのインパール方面を抱えた土地でして、東方向にはビルマ北部山岳地帯、それを越えると雲南という位置関係なのは御存知のごとく。)

この部隊「Our Assam Draggins」は「ドラゴン」じゃなく「ドラッギン/ドラッグ」、つまりドラッグレースに使われるようなチューンナップしたやや派手な(笑)車を指してると思いますが、隊のエンブレムでもそのドラッギンとドラゴンをかけてますし、シャークトゥースならぬサーベルトゥースを覗かせるくちも「ドラゴンマウス」とよばれるようです。そのドラゴンマウスの青い唇が、機体のグレーと相まって独特の妖しい魅力これあり。うは。

もうひとつの課題は、P-40兄弟の中でもとってつけたような背びれがカコワルイK型(汗)、その認識を自らあらためられるかのテスト。(^^;  その背びれも、エンジンを強化したらそのトルクに振られて安定性が落ちたので(汗)、まず間に合わせに?ヒレをつけた感じ。どうやら40シリーズの中でも飛行性能が低い機体であるようです(シリーズ中でも一番重たくて、上昇力なんかてきめんにダメっぽいわけです)。orz  それでもそんな機体を駆って地上部隊の支援にあるいは輸送隊援護にと、高温多湿なCBI戦域を飛び回った辺りが健気。腹には増槽より1000lbs爆弾のほうが、とも思いますが、その爆弾の向かう先を考えたらぶら下げるのは却下しましたよと。

機体キット関連。ハセガワ社製の今風なパチピタキットですが、コンバチの関係上胴体後部が別部品。ここの磨りあわせと、「顎」の中の三つまた隔壁(やや厚い)のズレに用心する程度でオーライかと思います。今回はデカールも塗色もキット指定そのまんま。操縦席前方胴体左右側面につくライトは、欧州戦末期のP-51なんかにも見られる後付けの編隊灯かなと思うんですが、それならオレンジ系と思われる色のはず(←却下。カラー写真で右舷のそれが青っぽくみえる?のを発見。ライトの色については保留させてくだせぇ)。機体によりついてないのもあり(大多数?)かと思いますので、厳密には(←ワタシには無縁の言葉)要確認。胴下増槽の支柱は必要十分に繊細なので置換せずともよろしと。左右6門の50口径の銃口もキットのままでちゃんと開いてる(!)のでいじらずに。

風防前の胴体上部には例によって照準環等つきますが、さすがにこれはエッチングで置き換えたほうが吉。今回はそこと、あとはピトー管(P達人お手製)、車輪および排気管(これまた拝領もののウルトラキャスト)で置き換え。シートベルトは板鉛、アンテナ線(尾翼から左主翼へ伸びるラインもあるようですが、それまで貼っちゃうとテキメンにひっかけてトラブりそうなので省略←おい)はパンスト利用(扱いが雑でほつれが出てますな。うひ〜)。

添えたフィギュアはエデュアルドのUSAAFセットから各部組みあわせ、小物(水筒やホルスター、バッグ)をタミヤさんの米陸軍歩兵セットから流用など。ツヤ消し調整をミスしてますが、ご愛嬌。(^◇^;) 途中で飛行服に汗染みを描くかどうか迷ったんですがね、今回は無しで。脇役のインド名物(?)コブ牛は、ペガサスホビーズ社の農場家畜セットの牡牛に多少のパテ盛り&削り。連中は人間様の意向とは無関係にうろついてるようなので、操縦士フィギュアとはなんら相関しない姿勢で配置。(^◇^;)  折角なのでその聖なる牛さんと関係の深いシヴァ神に、踊りながら御登場ねがっております(ベースの画像)。

塗装は毎度の手順。ゆえにぐだぐだ書きません。(^^;  しかしこのカコワルイと思ってたK型、なかなかヨロシでしょ。印象かわりましたわ。

なのでかわりに?、グレー塗りについて少し。なにしろ最近の傾向では、同じ機体のデカールに添えられた解説でも「この機がグレーに塗られていた確信を得られなかった」の流れで、通常のオリーブドラブ迷彩+赤い唇とかになってるようですが、それじゃつまんないので(笑)、従来説のグレーに。とすると、この方面でグレーに塗られる必然があったほうが興味しろいですね。さて、そこで上のほうに書いた同隊N型のカラー写真をみますと、もうたいへんな土ぼこりをかぶってて、それゆえに暗いオリーブドラブの上面がほとんど灰色っぽくなってます。とすれば、雨の無い乾季にあたったならば、暗いOD塗りよりも灰色のほうが迷彩効果が高いんでないの?とコジツケ。(^^;  使用された灰色については、参考書にも考察してる記事がありましたが、ニュートラルグレーをいじったか、はたまた近くにいた英軍から塗料を拝借したか、というところ。今回はキットの指定そのものでクレオス305番(現用米空軍迷彩色)が上面(下は325番。ただし上下とも例によっての多色塗り)。

んが、そうは問屋が卸さない。アッサムですよ、アッサム。配備地はアッサムのディンジャンであると。アッサム茶で有名な当該地方は、世界有数の多雨地域なんですね。乾季はどこへ?(大汗)  ま、ちゃんと明瞭な乾季があるようなので、そこらはほにゃららでサラッと通過ですな。わははは。ヽ(゚∀。;)ノ

付録ページへ→  例によって妄想方面文章につき、ご用心(汗)。

さて、英文における成語「All cats are grey in the dark」は、「美貌などは一皮むけば同じこと」の意味、意訳すれば、見かけに騙されたらアカンよ、ともなるんだろうと思いますが、上掲別ページの妄想文中では、外見は違うようでも中身は似たようなものというニュアンスで無理に放り込んでみました。(^^;

ここからの言葉で「All The Grey Cats」という題の小説がありまして、それは英国諜報部員を主人公に、ネパール王国奪取(!)を目指す東ドイツ&ソ連の陰謀といったお話。作者はクレイグ・トーマス氏、と言ってピンと来なけりゃ、クリント・イーストウッド氏主演で映画化もされた「ファイアフォックス」の作者氏であると言えばおわかりでしょうか。正統派英国諜報部物国際陰謀小説ですな。この場合は、誰が敵か味方かわからない、まさに暗闘するスパイ達が棲む灰色闇世界の暗示でもありましょう。日本語版文庫本の強烈に印象的なカバーデザインが、今回の机上作業中ずっと頭にありましたね〜。

といったところで、実はベースに配したシヴァ神も灰色と関係がありまして、彼はよく灰を全身に塗り付けた姿でも表現されると。それは灰=燃え尽きたもの=死でもあり、また不死鳥伝説にもあるように、死からの再生という、シヴァ神本来の破壊と復活/再生の象徴でもありましょう。大宇宙のダンスを踊る大いなる神、そこにグレーの印象が強く表現されてるのも不思議な御縁かと。悠久の時を重ねるインド哲学世界からみれば、あの戦争はどう見えたのだろうなどと思う夏の空。今回もおそまつさまでございました。m(_ _)m

〜こんなふうにフィギュアと機体を組みあわせてしまうと、おのずと構図と言いましょうか、見る(見せたい)方向がある程度決まってしまうので、どれもこれも似たような画像ばかりで済みませんでした〜。ご容赦。↓ほんのお詫びに?〜

<参考文献>

1)世界の傑作機シリーズ カーチスP-40、新版はNo.39('93)、旧版はNo.117('80);文林堂刊
  日本語モノグラフとしては、やはり基本かと。

2)CURTISS P-40 in action;'76、squadron / signal publications社刊
  英語モノグラフとしての基本。今回の実機機首部写真あり。さらに同社からは↓も出てますし。

3)Walk Around シリーズNo.8 CURTISS P-40;'96、squadron / signal publications社刊
  機体の細部や型による差異など順当に網羅。

4)太平洋戦線のP-40ウォーホークエース(オスプレイ、世界の戦闘機エースNo.21);'02、大日本絵画社刊
  和訳は梅本弘さんで、CBI方面としては実に安心して読めるところが大吉。ISBN 4 499 22779 8

5)The Curtiss P-36 and P-40 in USAAC/USAAF service 1939 to 1945;'01、Guideline Publications社刊
  鷹の眷族、その衣装をずらりと並べて解説もというモデラー向け図書、Scale Aircraft ModelingのCombat Colours、
  そのシリーズNo.3です。ISBN 0 9839040 5 9。ただし図版は印刷の関係で色調がほとんどまるでダメ。(^◇^;)
  これの巻末近くの解説に、今回のグレーについて考察があるんですが、結局可能性は全てあるって感じ? うは。

6)CURTISS P-40 From 1939 to 1945;'02、フランスのHISTOIRE & COLLOCTIONS社刊、その英語版
  これもカラーイラストで側面図山盛り、しかも↑SAMのより色調がオーライですな。各タイプを網羅。

7)Flying the Hump in original world war II color;'04、Zenith Pr社刊
  例によってJeff Ethellさん著のカラー本。ただしハンプ越えの輸送機がメインであって、P-40なんかほとんど無し。(^^;
  でもその1枚の写真が情報量沢山という罠。

(2006年7月31日初出)



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