折しも南方での遺骨収集に、骨自体の詐称疑惑あり(戦没者ではない一般墓所から盗掘=謝礼目的?)。あまりに哀しいその領域。しかし、遥かな戦地で故国を思い故里をしのび、そして帰らずとなった方々は実際に多数みえるわけで。帰国され後の世にその体験を語り継がれた方々は長く記憶されていきますが、不帰の方々を忘れちゃいけないだろうという夏の日の丸企画(できあがりが秋になりましたが)。ニューギニア方面で苦闘した三式戦を素材に、作業的にも懸案のあれこれを試行しようという目論見。

課題としては 1)不時着で機体損傷姿に耐えられるか? 2)独特の迷彩を銀肌ラッカー仕上げにエナメル濃緑で描いて消しゴムで調整という手法の試行。 3)水面表現の試行。 4)同じく砂浜の試行。 5)同、椰子を作ってみる。 など、まとめて一気に。

折角なのでマウザー砲装備機。現地での改装機は無かったんでないか?との最近考証も承知ながら、例によって適宜。(^^; 機体の工作は各動翼を全部作動位置にしたのがメイン。塗りはラッカー系で銀地を仕上げておいて、濃緑はエナメル系で描き込んでプラスチック消しゴムで調整という手法はMA誌別冊掲載の記事から。

砂地はコルクベースにアンカーとなる楊枝を刺しておいて紙粘土で造形→最近出たタミヤの情景作り用塗料@サンドを塗って砂肌を作る→珊瑚砂のイメージで白をドライブラシ。海はまず色を塗る→リアリスティックウォーターで海面部全体をコート→グロスジェルメディウムとウォーターエフェクトで適宜うねりや波を。波頭の白は最後に塗りで。紙粘土の乾燥収縮でベースが反ってる件は放置。リアリスティックウォーターは、数ミリまでの厚さで使用となってますが、流動性が結構持続するので作業台の冠水に用心(汗)。←やりました  ココロガマエとしては、リアリスティックウォーターで深みのある「水」を作るんではなく、色を塗っておいた個所に水面としてのコーティングをするといったところ。乾燥時の収縮もかなりのもの。表面は滑らかに仕上がります。立体的な表現は、ウォーターエフェクトやジェルメディウムで。(どれも、ひと晩おいても白濁部が!となっても慌てずにさらに放置乾燥で透明化)

椰子の幹は自作で葉っぱはタスカの紙づくり。海からの風を受けてるような葉の配置にしてみるも、角度によってはわかるという程度でイマイチ。↑この角度だと少しだけ雰囲気が。ついでにポリパテで椰子の実とか作ってみるもオーバースケール気味。orz (幹はプラ材を曲げて焼豚用の太いタコ糸みたいのを巻き付けて溶きパテ処理のち塗装)。

機体は最初は主翼端に損傷つけるつもりが機体損壊への抵抗をぬぐえず(汗)、後下方から撃ち上げられたような感じでラジエター部にごく小さな損傷を加工。ペラの曲げは回転方向と、ペラ板&ペラ軸との強度差を考慮しつつ熱湯加工。紙粘土に押し付けてへこませておいたところにこのペラが邪魔してきれいに納まらず、少し機首が浮いてますな(汗)。

タイトル部の右にある謎のマークは「川」の字を図案化した川崎の社章(だと思います)。あとこの飛燕キットの基本工作である主翼上反角やら機首機銃関連孔の埋め&開口やら増槽架の工作やら適宜。

滑油だか冷却水だかの御漏らしは、色調が不明だったので褐色系で、さらに「油」系の虹色をパール系塗料で少しプラス。マーキングは68戦隊の第2中隊ながら、半ば架空。

例によって、以下のお話は全くのフィクションそのものなのですが。(Inspired deeply by Yaso Saijoh なんちて)

姉さん、あの斑猫、どうしたでしょうね。
ほら、神宮の白い玉砂利の上で、子供の頃にみつけた
あの宝石のように輝いてた斑猫ですよ。

子供の僕から見ても、あれは小さな昆虫でしたよ。
でもそれが、青、緑、橙、白、金色、それぞれに
きらきらとモザイクを作っていて、それは綺麗だった。

捕まえようとして近づくたびに飛んで逃げてしまう。
先に降りた斑猫を追いかけて、僕も小走りになる。
あれは「みちおしえ」とも言うんですね。

そうやって何度か斑猫を追いかけて、ふと気付くと
周りに誰もいなくなってしまっていて。
僕は随分心細い思いをしましたよ。

だけどその時、姉さんが向こうの方から大きな声で
僕の名前を呼んでくれた。
だから、いっさんに駆けて戻りましたっけ。

こちら、南方では飛行機が敵も味方もどの機体も、
まるであの日の斑猫のように輝きながら飛んでいるんです。
きらきらと、青い空と碧の海をうつしながら。

今日も、そんな綺麗な飛行機を追いかけて、追いかけて、
ようやく1機撃ち落として。
もう1機もあと少しで追いつけそうだった。

ちょうどあの日の斑猫のように。
そして僕はまた捕まえることができなかったんです。
追いかけるのに夢中になっていて、別の敵機が
死角へ回り込んでるのに気付かなかった。

姉さん、あの斑猫、どうしたでしょうね。
もうあの日の斑猫は死んでしまったでしょうけれど、
その子孫たちが、今もあの神宮の白い玉砂利の上で、
きらきらと宝石のように輝いているのでしょう。

この目の前の海からずっと途切れることなく続いている、
あの清い流れのほとりにある、神宮の白い玉砂利の上で、
遠く遥かな南方での出来事なんか知りもしないで。
きらきらと、きらきらと、今も。

と、1年ぶりなのに今回も御粗末様でした(汗)。m(_ _;)m

<参考文献> (一部のみ)

1)モデルアートNo.724(臨時増刊)、WWII日本機モデラーズハンドブック3、日本の戦闘機;'07年、モデルート社刊
  この本に、鍾馗と飛燕の作例付きで「ラッカー銀肌へエナメル濃緑、消しゴム調整」の解説が。
2)モデルアートNo.329(臨時増刊)、日本陸軍機の塗装とマーキング 戦闘機篇;'89年、モデルアート社刊
  故・長谷川一郎さんによる陸軍戦闘機塗装&マーキング大全。迷彩パターンはこれに掲載の図を参考に。
3)モデルアートNo.733(プロフィール)、川崎キ61飛燕;'07年、モデルアート社刊
  ひととおり網羅の基本書。
4) 世界の傑作機No.17、陸軍3式戦闘機「飛燕」;'89年、文林堂刊
  こっちも基本書。
5)丸メカニック 図解軍用機シリーズ 飛燕・五式戦;'99年のハンディ版、光人社刊
  大判で合本になってない原本もあるんですが、九九双軽と合わさったこれが手元にあったので。
他にはネットで南方の椰子の海岸写真をあさったり。244戦隊関連は、所属機をやるときにまたあらためて。

(2010年10月4日 初出)



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