米国の医師の家に生まれ、印度で成功した英国貴族の元に嫁ぎ、そして3人の息子に恵まれながら、途方もない悲劇におそわれた、或る妻にして母のお話。大切なものを失ったかたが、あまりに多くみえる今この時にこそ、と。ダニー・ボーイではなく、Londonderry's Airのほうの歌詞を検索してご覧くだされば幸い也(記事末尾参照)。

印度で成功し準男爵の称号も得た1家、息子達にも恵まれて言うこと無しとは思われたものの。しかしその準男爵が儚くなり、後を継いだ長男も飛行機事故で逝き、そこに大戦争がやってきて、次男ばかりか三男までもが空軍での任務中に命を失ってしまう事態に。しかし母は強かった。間髪を入れず資産からごっそり大枚を空軍へ。息子達に報うためにも、この戦争を終らせる一助にでもなればという献納機。3機の戦闘機には3人息子の名前が、残る1機にはThe Lady(夫人)、そしてその後も複数の爆撃機にマクロバート家の紋章を描いて戦場に送りだし続けたというお話。日本風に言えば「烈婦ここにあり」というところでしょうか。

このマクロバート家の名を書いた機体は有名で、ハリケーン本の表紙カバーに使われたり、作例になったりもしてますが、何故か↑そこらの由来が書いてない。この機体をやるならば、由来抜きではあかんでしょというので補完の意味もあっての今回。

HL844 SIR ALASDAIR、HL851 SIR RODERIC、HL735 SIR IAINのシリアルと機名の対応は記事末尾にあげた参考本の各写真から推察したものと、これまた末尾にあげた参考サイトとの記載が一致したので、たぶんオーライ。GO@Pの「G」については、例の有名な5機編隊写真では記入されていないものの、仮定として記入(Oの字を切り貼り)。この時期のハリケーンも、おそらくアンテナ支柱のみで空中線は既に無し。

この3兄弟の名前は、戦後では60年代に訓練軍団の滑空機3機へそのまま受け継がれ、また大戦中スターリングに記されたMacRbert's Replyの名は、RAF第15中隊のバッカニア、さらにトーネードに引き継がれた由。

ハセガワ社48のIICキットをそのまんま。お馴染み「ペガサスの翼」さんでハリケーンの考察がされてますんで、それに沿って主翼付け根前縁の「鎖骨」を出そうといじりましたが、例によって半端な始末。(^◇^; エレベーターだけ切り離して少しダウン。シートベルトと落下傘は自作、フィギュアはタミヤ48砂漠キューベルに付属のマルセイユ氏をパテで蛇の目人らしく、ださく加工して、ダニーボーイのあれがなにゆえ当然赤毛に。キャノピー可動部のみPET材でしぼり出し。塗りの手際がこてこてどろどろ過ぎて機体外表のディテールがあちこち死んでるのは毎度のこと。orz

例によって、謎のお話予定部。ヽ(゚∀。)ノ ←と思いましたが、さすがにネタがネタなんで「駄」な掌編など不可能。m(_ _;)m



その後のレディ・マクロバートは基金を作り、戦後に退役軍人ための施設を設けて長年その名を残して来ましたが、Royal Airforce Benevolent Fundに組み入れられて維持されてきたその施設・Alastrean Houseも、遂に閉鎖との話が。基金という性格上、「ああ、そうか」とも思えるその原因たるや、世界経済状況の変動による株価下落だとのこと。しかしながら、戦後も延々とRAF機で受け継がれてきた機名「MacRobert's Reply」は、トーネードからさらに恐らくはタイフーンにも引き継がれていくのでしょう。米国東海岸から嫁いできた、英国人よりも英国人らしい?準男爵夫人とその家族の思いでとともに。

とかく人の世はままならぬもの、失うものも数多く、しかしこの準男爵家の物語はあまりに強烈な印象ゆえに、現代本邦で多数の悲劇が生まれてしまった今しか無理、逆に今でこそこれをやっておかないとという思いの末のコテコテでした。全ての帰らぬ人々に、We miss you.

<参考文献> 

*通常のハリケーン全般本は省略。今回の個機に限っての参考本。

1)ホーカー・ハリケーン 世界の傑作機 No.28、1991年刊、文林堂 砂漠の5機編隊写真。キャプションの機銃の数や偵察型云々はちょっと「?」。(後述)

2)HAWKER HURRICANE MK.I/IV ARCO-AIRCAM AVIATION SERIES No.33 Arco Publishing Company, Inc. 1971年刊
  SBN 668-02316-3
  世傑と違う角度の砂漠の5機編隊。SIR RODERICがおそらく「HL851」とわかる。同844がALASDAIRと確認できる写真、RODERICの機首も。

3)第2次大戦のイギリス軍用機 ミリタリー・エアクラフト N0.009、1993年刊、デルタ出版
  735?と851?のタキシング姿。機銃4基装備が明瞭。他の写真より機体色が明るくみえる。

4)The Hawker HURRICANE An Illustrated History, Francis K Mason著、1990年版、Crecy社
  ISBN 0 947554 86 6   RODERIC機の機首アップ、ALASDAIRのクリアな写真。両機とも機銃は左右それぞれ2基で、銃身冷却螺旋?のタイプが違う。ペラの形状明瞭。両機とも下面色がかなり暗い調子。G-AMAU機の小さめ写真少し。

シリアルナンバー一覧表で配備先と消耗状況が簡便に。3機はいずれも237中隊(Rodricが戦死時の配備先)でイラク、キルクークの油田防衛と。んが、例の5機編隊はエジプトなんで、宣伝写真なのか半ば記入された中隊コードはどうなのか、そこらは不明。でもやっぱり機銃減らしてカメラを積んだTrop Tac Rじゃなく、普通にIICのTropとして生産されとります。

5)HURRICANE THE ILLUSTRATED HISTORY, Philip J. Birtles著、2001年刊、Patric Stephens Limited社
ISBN 1-85260-604-5  上記と同じ写真。

ネット上;

http://www.macrobertsreply.com/
そして↑ここからたどる、
http://www.philipieffs.dsl.pipex.com/mrr/history1.htm
この↑サイトを見る前に、自分で3機の名称とシリアル対応を考証した結果がそのまんま同じでした。
そして
http://www.squidoo.com/macroberts-reply
等。
G-AMAU機はそのままをキーワードに検索すれば画像が幾つか。
London Derry's Airの歌詞は、
http://duarbo.air-nifty.com/songs/2007/03/londonderry air 2799.html
 (音あり、注意)
で最初のラブソングではなく、その下の、たぶんより古い歌詞のほうを。あまりの一致に愕然とする処。

(2011年9月11日 初出)



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