過去にも幾度か伝えられた英国老舗メーカー、かのAIRFIX社の危機、どうやら今度はかなりアブナイような(汗)ということで急遽仕立てた応援企画の1機。その後、独逸レベル社が救済もしくは吸収?に動いているとも聞きますが、さてどうなりますかというところ。

応援企画であればこそ、いかにもエアフィックス社らしいキットで行きたいということで、最近再販がかかったキットの中でドミニを選択。英国純正機にして英空軍で汎用機として、特に航法訓練に使われてる機体・・・となると、もう他社では出しませんわな〜。(^^;  これぞエアフィックス趣味。

まあ戦闘機なんかじゃなく、そんな地味な機種まで作ろうというところまで来れば、蛇の目病もかなり深刻ではありますね。ヽ(゚∀。)ノ

'60年代に製作/採用され、長く務めて'90年代に近代化改装を受け、21世紀になってなお公務に励むその姿のいじらしさ、というところ。うちのリンクページにもあげてある英空軍公式サイトで情報ピックアップすれば出てきますが、ざっと舐めておきますと──。

デ・ハヴィランドで産湯を使った本機、ドミニT.1は、英空軍最初のジェット航法訓練機として採用された機体で、ホーカー・シドレー125(有名なダヴの後継)として知られる機体の軍用型でありますね。20機が1965年末に英空軍へ採用され運用開始、1993年になってそのうち11機がレーダーをはじめ電子機器を中心に最新の装備への改修を受けております。ちなみに英空軍の航法士訓練生@タマゴ諸氏はTutorからTucanoを経てこのDominieへ、そしてHawkで仕上げをしてから各機種のOCUへと配備されていくとのこと。またRAFでは他にVIP輸送機として7座仕立ての係累機、BAE125を使用してもおりますね。

さて、エアフィックスのキット自体は初期採用時の発売ゆえ(ひょっとして40年選手?)、現在の改装後とするにはそれなりの作業も必要ではあります。ちなみに企画が企画ゆえ、部品やデカールも可能な限りキットのものでまとめております(意外だったのがデカール。普通に使えてくいつきも良好。ラウンデルも赤丸が別なので寄り目の心配無し@自己責任)。

キットで気になる個所と言いますと、各翼が厚すぎる(あきらめました)、エンジン・ポッドの膨らみ感が不足気味(これもあきらめました)、機首オデコがでっぱりすぎ(裏打ちして削りました)、鼻先が鋭どすぎ(パテや瞬間で少し膨らませました)、主翼上面のフェンス位置が内側すぎるかも(気付くのが遅すぎてそのまま)、など。あと改装後の機体では胴体の窓の数が左右で逆になるので適宜穴埋めと穴開けで対処。透明部品も全部キットの部品で作業。他に改装後とするには胴体背面のアンテナ類に要注意。通信関連やおそらくはGPS関連と思われるもの複数。古いタオルバーアンテナは無し(これの基部が凹みモールドされてるので埋める要あり)。

コックピットは完成したらほとんど見えてませんが(笑)、一応パネルに流用した計器デカール、そしてキット付属の乗員2名(よい出来)を配置。左舷側乗員の座高が高くて(接着ミス)、右舷側の彼しか顔が見えてないわけですが。orz  ウインドスクリーン前左右にワイパーを追加。

各動翼部は可動のキットで、ヒンジ部がごつく思えたりしますが実は実機もこんな感じなのでオーライ。さらに繊細な仕上げとなると、エルロンとエレベーター後端につく放電索なども。んが今回は、なんせ機体の凸モールドも作業で消えた部分を放置してるくらい、残ったモールドもサーフェイサーやベースホワイト&クリア厚塗りでほとんど消えてる状況なので(でもキット本来のモールドは予想外に繊細かつ詳細。ただしパネルライン等の実機照合はしてませんのでご用心)、放電索は省略。(^^;

ジェット汎用機として英空軍最初の航法訓練機という本機、さかのぼれば可愛く忠実なアヴロ・アンソンの系譜かと。この機体で鍛えられた航法士諸兄は、画像で並べたファントムの後席や、トーネード、そしてタイフーンなどにも搭乗してますわね、当然ながら。

今回の塗装/マーキングはキット指定のまま、No.55中隊機。この部隊、遡れば1916年に訓練隊として創設、すぐに実戦爆撃機隊になったということで、そのモットーは『Nil nos tremefacit』=Nothing shakes us。何者にも動じない、というところでしょうか。WW2前後はブレニム装備で中東からギリシャ方面、モスキートも装備したりですが戦後いったん解散。そして1960年に爆撃機Victor装備で再編、以後はその給油型を含んで1993年、最後のヴィクター隊として活動していたようです。この間、僚友隊とともにヴァルカン爆撃機による「Black Buck」、フォークランドへの長駆爆撃行もサポートした由。その後は一時的にVC10隊になったりしつつ1996年からドミニ飛行隊に隊番号は継承されて現在に至る。2006年現在、ちゃんと現役飛行隊でありますね。

ところでこのドミニ(先生あるいは牧師さん系統の呼称)、そもそもの設計開発は、プロペラのダヴ、あの機体の後継にと考えられたデ・ハヴィランドのもの。それが時代の流れに押し流されて(汗)、英国航空産業の再編成にともない、デ・ハヴィランド ホーカー・シドレー BAeと親元が変わり、さらに今や生産設備ごと買い取った米レイセオン社の名前で眷族が本邦自衛隊にも採用されているという、まことに蛇の目航空界、その黄昏の空を飛んできた機体なのでした。嗚呼。・・・って、そんな機種を、傾いたエアフィックスの応援にするなって?(汗)  いやまあ、そこはそれ。(^^;

参考資料、一番いいのがAIRLINERS.netの写真。dominieで検索してもいいですが、この機なら「XS728」で検索かけるとそのものが多数でてきます(驚)。しかも現在の白黒姿から、過去の(改修前の)鮮やかな郵便局赤をまとった姿までという辺り、さすがの蛇の目機。

(2006年10月2日 初出)



SEO対策 ショッピングカート レンタルサーバー /テキスト広告 アクセス解析 無料ホームページ ライブチャット ブログ