<Wing of Gauloises>


ミラージュ第2弾(というか3機め)、F1の最新型たるCTですね。迎撃機として生を受けた機体ながら、時代の推移とともに任務形態も変容、本タイプはかなり戦術攻撃機的な性格でありましょう。CTのTは戦術戦闘機(Chasse Tactique)のTですな。某国でいうところの「支援戦闘機」に近い印象も。任務の都合上、迷彩は適地深くへと地を匍う低空侵入に相応しいオーバーラルの暗調。これが悪っぽくてなかなかよろし。CR=戦術偵察型なら、砂漠迷彩という選択肢もあるのですが。

ワタシとしては珍しく爆装。レーザー誘導のGBU-12弾をハセガワ製武器セットから導入。対機甲部隊用ということになってはいる、スマートボムでありますね。本機の場合、攻撃用にレーザー測距装置は装備してるものの、誘導用のレーザー照射装置は無いので、作戦行動時は照射装置装備のジャギュア等他機との連携が必須となります(ミラージュでも2000になると、自前で照射器をぶら下げてますが)。

いわゆる「ハードな」目標に対し低空侵入で攻撃を加え、あとは持ち前の戦闘機本来の飛行性能でHostile Skyを翔け抜けて帰るという次第でしょう。ちょうど「633爆撃隊」や初代デススター攻撃のXウイング的な想定条件であるわけで。CTタイプは'91年試作、'92年から配備の模様。ちなみにF1そのものの初号機は'66年の初飛行ということで、誕生から四半世紀を経ての進化形態ではあります。

本来の機体は、米国製より出力のやや劣る自国エンジンを中心に据え、前線飛行場の悪条件下でも作戦可能な離着陸性能を持ち、軽量で扱いやすい安価な機体を目指しての設計だと思うんですが、その性格が後の輸出型多数を生んだ背景でもありますね。

使用キットはイタレリが旧エッシーのもの(20年くらい前の品?)に部品を少し追加してCRやCTも組める仕立てにした製品。凹彫り表現の機体外形、そのデッサン自体は優秀ですが機首から風防部、さらに主翼付け根付近に若干の違和感があります。そこらに手を加えつつ、仏蘭西=ガリアの翼を机上にと。 

この角度↑でみると、伝統のデルタ翼ではないものの(この時期は技術的な面でデルタは不利ゆえの不採用。後に2000で復活するのはその技術的な部分を突き抜けたから?)、機首と各翼の角度が相まって、実に勢いのある機体デザイン@かなり秀逸。同時期にダッソー社で計画/試作されていた、より大型あるいは複座の機体では外形ラインに幾分の迷いが感じられますが、本機は迷い皆無、直球そのものでスッキリ仕上がってますね。ちょうどIIICにも見られたあの小粋さとでもいいましょうか、「ミラージュ」の神髄は大柄な万能機じゃなく、やはり軽快な単座戦術機なんでしょうなぁ。

伊太利製キットに本国のガリア魂を注入するには、フォンドリーミニチュア社製のレジンパーツ。ディテールアップ用と装備品の2つが出てますが、レジンの抜けがイマイチで精度低め(汗)ゆえ、それなりに覚悟して導入する必要あり、です。しかしながら、キット本来の仕立てでは主脚庫が塞がってたり排気口部が寂しかったり、平板なコックピットだったり、あるいは形状に不満のあるショックコーンやインテイク部のラインなど、レジン部品導入による効果発揮は保証付き。

主翼翼端灯は上下それぞれに突出したタイプに変更@透明プラ材。

さらに形状が「あちゃ〜(汗)」なマジックAAMは、装備品レジン部品にあるのですが、翼部など抜けの悪さで使用不可(涙)。そこで各キットをあーでもないこーでもないと探したところ、独レベルの傑作、ラファールについてるのが最良と判断、流用しとります(エレール社1/48のジャギュアAに付属の弾体もよさげ。ただし1キットの1発のみ付属)。流用が贅沢すぎ(泣)。贅沢といえば、風防部の形状がまったく幅広すぎで、これを修正するのはかなり困難。このキットをベースにしたと思しきフォンドリーミニチュア社の複座型F1Bキットに付属のバQキャノピー(かなりイメージは良好)から流用して辻褄合わせを。可動部はキット部品で。フォンドリー社の複座型キットにはバQキャノピーが2セット入ってるとはいえ、やはり非常手段的な流用ではありますね。(^◇^;)

(実は単座型を組むにも、そのフォンドリーの複座型をベースにしたほうが、ディテールパーツも同封されてて結局お得かも?)

その風防部から機首先端の形状が直線的に過ぎるので、ここにプラペーパーを螺旋状に巻き付けてガイドにし、瞬間接着剤を盛りつけてせっせと削って削って削りに削り込みます。レドームにいくぶんふっくらした曲線を与えつつ先端へかけてキュッと細く絞り込んで終了。この風防から機首付近のあれやこれやは、二次元の図面を立体化する際のズレとも思えますし、あるいは当時のエッシー製キットに共通の「コックピット付近幅広すぎ病」の症状かとも(汗)。給油プローブと脚関係は先のフォンドリー社製メタル部品で。

形状といえば、「腰」=ウエストにあたる部分がやや寸胴で(汗)、もうちょい絞ると雰囲気よく別嬪さんになりそうなんですが、あまりにいじる範囲が広くて、さらに主翼との関係もあるので、自分の工作技術/センスでは無理と判断して見送りです。orz

レジン部品で巨大な「イラクタンク」@胴下増槽もあるのですが、長大なパイロン部がうねってるのにめげて不使用。機首先端につく独特な形状のピトー管はペガサス師よりの賜り物。なんとハンダ細工@お手製。感謝〜。m(_ _)m  さらにインテイク側面の不明機照射用ライトは河井シャチョーさんからの拝領品@鉄道系ライト部品。これまた感謝〜。m(_ _)m

ックピットはレジン部品の原場合わせ大会そのもの。

本機もミラージュIIICと同じように、風防枠に時計とコンパスがぶら下がってますな。可動部側の前端にはバックミラーがつくんですが、CTは真ん中に1枚のもあり。他は左右斜めに各1枚かと。インテイク部のライト、右舷は普通にそのままついてますが、左舷は装備形式が少し違うようで、シャッターともカバーともつかない形状部があり。ひょっとして不明機を照らして撮影するカメラも一体化されてたり? ←ごまかして塗っただけ。(^◇^;)

テイルパイプ直前につく小インテイクは形状に不満あり。プラパイプを加工して付け直し。

垂直尾翼下のドラッグシュート格納部には、ここ専用のチャフディスペンサーもあってキットに追加されてますが、両主翼下にMatra社の " CORAIL " フレア発射機を貼付けたり、右翼下に同社" PHIMAT " チャフ/フレアディスペンサーを下げたりしてる機は普通にドラッグシュート装備かと。左翼下にはジャミング用の" BARAX " を装備。これら複数の「身をかわして生き残る」ための装備は、本機の作戦形態をよく象徴してますな。

最近自信がないのはミサイル系の排気口部。各国の実機写真みてますと、実弾頭のでも排気部には蓋がしてあるような気配。いつもくりぬいてますが、蓋してるのが正解かも、です。発射時にはふっとぶんでしょうね。

この暗い色調で頭のよさげなカラスっぽい印象を是非再現してみたくて。この機種、特に今回のような最新戦術機タイプは、元は本国防空の迎撃機として、結構いい御家の生まれだったお嬢が、世間の機微に接してスレて陰影と退廃をまとい、 ふっくらしてた薔薇の頬もややこけて。暮れなずむ空を見上げつつ、わずかに皮肉な 微笑みを浮かべて「さあ、どこからでもかかってらっしゃいよ」とつぶやくその横顔。その哀しげな瞳に、ハッとするような清澄さ、塵埃にも輝きを失わない純粋さの光をみて思わず知らずドキドキしてしまう、そんな感じでしょうか。←なにいってるんだいコノヤロー

ま、いつもどおりの粗い仕上がり、しかも今回普段の5割り増しな粗さですが(汗)、なんとか形に。マーキングに選んだアルトワ隊、その名称の元になったアルトワ県は、ちょうどあの「三銃士」たちが活躍してた時代にスペインから割譲された辺り。ラテン圏ど真ん中といった感じでしょうか。タイトル部で添えたゴロワーズは、御存知フランス煙草。同じフランスのジタンなどよりは土の匂いがする感じ(笑)。この羽のある兜はケルトの意匠だそうで、ケルト〜ゴール系のガリア人の勇猛さも表わしてるとかなんとか。どうやら両次大戦間に生産がはじまった煙草のようで、幾分の戦陣を煙に含んではいるようです。今回添えたのは旧パッケージのフィルター付きですが、本機の性格から言えば両切りタイプのほうがお似合いでしたかね。(^^;

ねぇ、そこのムッシュ、ゴロワーズを吸ったことがあるかい?  な〜んてつぶやきつつ今回はご機嫌ようであります。本機に数多くみられる輸出型のあれこれ、その多彩な衣装の魅力などは、また機会をあらためまして。(^^)丿

<参考文献>

1)AMD-BA Mirage F1;Check List No.1、'03年、DTU社刊、ISBN 2-912749-04-2
仏DTU社の仏機本は内容が濃いのでお勧め。フランス語のみのもありますが、本書はちゃんと英語キャプション付き。試作機からCT、輸出型まで網羅してカラー写真満載、細部も適宜アップがあって資料価値の高い仕立て。ただし同社の本は初版のみで絶版が多いので、確保するにはそれなりの覚悟と手数も必要ではあります。しかし、その価値あり。

2)Dassault Mirage F1;World Air Power Journal Vol.17, '94年、46〜95ページ、Aerospace Publishing社刊
今回のイメージソースの一助、アルトワ隊機の折り込みイラストはじめ、50ページに及ぶ一大特集。解剖図などにわずかにアヤシイ記載もありますが(汗)、季刊の大判誌面に各タイプそつなく収録、装備品まで含んでの解説が。使用各隊、各国の記載も有用。

3)ダッソー・ミラージュF1 フランスの守護神;週刊エアクラフト、No76、'90年、同朋舎刊
17ページほどの「世界の名機大図鑑」@折り込みイラスト付き。刊行時期ゆえにCRまででCTは入ってませんが、CRの作戦形態記事を含めて結構お役立ち、しかも日本語で各型の解説を読めるのが吉。

4)Dassault Mirgae F1 Aerofax Minigraph 17;'86年、Motorbooks社刊、ISBN 0-942548-22-1
アエロファックスのミニグラフ、かなり入手難ではありましたがなんとか。(^^; 白黒で小さめの写真が多いのが瑕疵ですが、やはり情報量はたいしたもの。本書もCRまでを網羅。

5)その他; 「REPLIC」誌の'04年9月号No157に本キットをCRに仕立てた作例記事あり(フォンドリーミニチュアの1/48、B型作例記事もあり。実機のWalk Around写真も多数掲載)。仏語ゆえに詳細不明ですが(汗)、レジンを組み込んでいくのに相当な根性が要りまっせと覚悟させてくれる写真多数(笑)。あ〜、今みてみると、仕上がりは明らかに負けてますな、やはり。orz   さらに英語だと「Scale Aviation Modeller」の'03年8月号にF1輸出型の特集が豊富なカラー側面図や3面図とともに掲載。また、IIICの時に重宝したAvia Scope社から同じ体裁のF1本が出たようですが、これは未見です。

(2005年8月18日初出)



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