<P-51のアンテナ線>

ことの発端は、ふくぎやさんとこの板で、ペガサスさんの流麗なD型のアンテナ線の話題から、V・Jさんが「P-51Dのアンテナ線はキャノピーを貫通してるのとしてないのがあるような?」というお話を振り込んで開始でした。(^^)

その後、キャノピー付近や垂直尾翼前縁の碍子画像などでまして、「線を張ってないようにみえる機体」=キャノピーにカバーがかかってる状態の画像複数が指摘されました。

ここで管理人は「末期には張らずとも電波が届いたんでないかい?」と思いまして、暫時検索。

#管理人
あの空中線と別に背中につったってるアンテナ板がありますね。あの板の方が、わたしらの想像するVHF交信用アンテナで、空中線の方はどうも別の航法用の中波受信用な気配が。メインが板で、線はなくてもそう困らない状況が、後期には成立してたのかも、などと妄想しとります。裏は後日。←とれるのか?

で、その後にみつけたのが↓このやりとり。海外フォーラム板での質疑応答なんですが、すでにキャッシュのみとなっていて、ひっかけられたのはラッキーでしたわ。(^^;  ちなみに↓の中で触れられているロジャー・フリーマン氏の著書はまだ確認してません。

『ワイヤ・アンテナを使うSCR-274無線機は、英国へ渡る段階では使用しているが、英国へ 到着するとそれを下ろして、かわりに機体背中の板アンテナを使う SCR-522無線機が積載される、よって第8空軍のムスタングは、少なくとも戦闘作戦飛行では(例外を除いて?)ワイヤ・アンテナを装備していない。が、ワイヤ・アンテナ引き込み部のキャノピーには、そのための膨らみとローラーが 残ってはいるのだよ。』って感じでしょうか。


P-51の空中線(アンテナ線)について。特に第8空軍関連のキャッシュより。

これが質問↓

According to Merle Olmsted, author of "357th over Europe," the 357th did not use wire antennas on their P-51s. After looking at many, many pictures of ETO Mustangs, I am inclined to believe that many ETO-based FGs did not use the wire antenna. Are there any ground personnel out there that can confirm or deny this gestimation? I know what you are thinking, "the wire antenna does not show up in photos because it is too thin, is washed out, etc." Well, I have seen quite a few pictures where this is the case, but the insulator at the fin shows up but the antenna wire does not. On the other hand, there are also many pictures of Mustangs with NO wire at all. Hmmm, what gives? I have not found any data concerning the types of radios that used the wire antenna and thoise that used the blade antenna. Please help me solve this question. Any help you can shed on this subject would be greatly appreciated. Thanks, Matthew Burchette

以下が回答↓

8AF Fighter Antennas

Matthew - you're right, and Merle is right, of course - no 8AF fighters used the SCR-274 long wire antenna - at least in combat. They were, however, fitted with the SCR-274 radio, some fighters at least, during the trip over to England, then the SCR-274 kit was removed, and the SCR-522 fitted. I found this out the hard way. After being corrected, I sought out any and all references on this subject. I *finally* found the answer in Roger Freeman's excellent MIGHTY EIGHTH WAR MANUAL. In this book, he describes how 8AF fighters used *only* the SCR-522 communications radio during operations. The antenna for this radio is easily seen on the spine of P-51's, P-47's, and under the noses of P-38's. This answered my question, but you WILL see 51's with the canopy that has the little bump and roller for the SCR-274 antenna wire. I'm surprised you, me, and most everybody else are just finding out about this - you just assume the antenna wire is there, don't you? I found out just recently from a model builder friend of mine that a P-51D in 8AF colors won a first place in the IPMS Nationals in Dallas just recently. It should have been "dinged" for having the SCR-274 antenna wire. Wade


そこでさらに続くやりとり(うちの板)。

#mayonakaさん
まとめ (概略)
>SCR-274 周波数帯域200〜400kHz いわゆる中波(長波に近い)で到達距離が長くとれるので大陸間飛行(大西洋横断)には必要だった・・大平洋側戦線では使用していたのでは(新たな疑問)
>SCR-522 周波数帯域100〜150MHz いわゆる超短波 見通し範囲(見える)での通信に使用・・戦闘時通信用 波長の短い方がアンテナが小さくて良い・・抵抗が少なくなる 製造技術的には波長が短い方が難しい

#管理人
先の横文字投稿にもあるとおり、空中線そのものは写真で確認しづらいんですが、 V・Jさんに貼っていただいた垂直尾翼前縁の絶縁碍子、あれを目安に見ていくとアジア方面配備の機体は空中線を確認できる画像が複数存在するようです。さらに、硫黄島配備の機体では機首下面にも板アンテナ(522用)を増設して長距離作戦に対応したのもある、との記事も発見。

#ペガサスさん
今作ってるC型では楽できんのかなあ。8AFだけど。なお、イタリアのP−47では線ありがはっきり確認できます。

#管理人
この件もat your own riskでよしなに〜。(^^; どうも無線機が、522は522でもP51Dになって522Aっちゅーのに更新されてるみたいで、こいつの性能が高いのかしら、というあたりですわ。とすると、それ以前の機体なら線を張ってて可でしょうか。やっぱ個別確認が強そう。さらに英軍採用のMustang は、それぞれ英軍規格の無線機積んでるようです。あ、ホイップアンテナの機体はどの無線機なんだろ?

*註(笑);ROMほかの皆さまへ。 仮に第8空軍P-51Dのほとんどがワイヤアンテナ張ってなかったとしてもですね、空中線を張ることで、模型としての精密感が表現できると思うので、そこんとこは柔軟で良いかとも思います。こだわりや表現は趣味として個別に尊重されるが吉かと。(^^;

#V・Jさん
画像も取り込みした中から捜しただけで、ハッキリとわかる画像は中々見つから無いです。本から捜しても良いけど、只今整理中だしねぇ、目的の写真が見つける前に他の写真に目が奪われて本来の目的がら外れる事しばしば有る為、止めますた。見た目では線が在った方が見栄えはしますね、作る時には写真を良く 見ようっと。 線が見える機体はキャノピーを貫通している、見えないのは線を外しているけどローラーカバーは残っている、キャノピーに引っ掛けてるのは無いんでしょうねぇ。で、初めから線を通す穴が無いキャノピーって在る?無い?如何かしら。

#ペガサスさん
手近な資料をぱらっと見たかぎりでは、英国基地では線が見えないですね。メイヤーのペティ3rdでは、コクピットのクローズアップで 明瞭に線なしがわかります。ただし、イタリア、アジア、朝鮮戦争では線ありが確認できます。ここでまた疑問。板アンテナでないB/C(細い棒のやつね)に線はありなし?

#管理人
当時の写真ゆえに解像度がアレですが、どうもその気になって第8空軍各隊の馬Dをみますと、碍子がみえない機体がずらずらと(汗)。 こーゆーのは、確実を期すならば、きちんと陸軍航空隊なり第8空軍なりの無線装備に関する 指令書原本をみつけられたらいいんでしょうね。←そりゃあ無理ざんす。しぇ〜
>で、初めから線を通す穴が無いキャノピーって在る?無い?如何かしら。
これに関しては、戦後のANG装備機ではワイヤ復活してますし、ある時期の8th限定仕様という気が(いつでも中波機材を戻せる形)。地中海、フランスでも南部、中国、フィリピン、イエジマ方面でそれぞれ碍子+ワイヤを確認できました。(つーことは、8thの馬よりアジア太平洋方面の馬のほうが、中波受信機の重量ぶんだけ重い?)
>板アンテナでないB/C(細い棒のやつね)に線はありなし?
これがビミョーで。(^^; なんせ私など持ってる資料にある「棒」タイプの写真が、決定的に少ないんですね〜(汗)。ただこの型のは、棒の直後になる胴体背部にも碍子があって、これの見える機体が多いようです。これだと張ってるのかな。あとC型で、Dと同じタイプのアンテナを胴体後部につけてるのが少なくとも1機ありますが、これは随分長く前線で生き残った機体の改修後でしょうか。

#mayonakaさん
米国表記のSCR-xxxは無線システムの仕様の呼び名として考えた方がよさそうです。同じSCR-522でも受信機や送信機はいろいろなタイプがあったようですから。このあたりは
http://pages.cthome.net/fwc/SCR.HTM
8AFの場合イギリスでの展開ですから、英空軍との共同作戦が通例でしょうし英国の通信事情との整合性も考えたのでしょう。当時のイギリスの 通信システムはTR.1133で100〜150のVHF帯です。この帯域はまさしくSCR-522と同じ物です。こちらのサイトにSCR-522はTR.1133をリデザインしたものであるとの記述が有ります。
http://www3.sympatico.ca/hrc/haida/radio/ww2rad.htm
もひとつ
http://www.warbirds.jp/ansq/11/A2002136.html
以上の事から英国本土およびそこより大陸侵攻する機体はワイヤーが張っていないと考えた方が宜しいかと思います。(時期も考えないといけませんけれど)  squadron/signalのFighting Colors P-51 Mustang in Color はB/C型について参考にはなりませんか。根元が細いワイヤー展開用のアンテナ支柱と根元の太いブレードアンテナの峻別がしっかり描きこまれています。(根拠はともかくね)なかには根元が細いタイプでもワイヤーの張って無いものも有ります。ん〜 やはりたいへんだね・・

PS B/C型に見られるホイップアンテナ装備機はSCR-274から522にレトロフィットしたものと考えて宜しいかと思います。 以上 もと電波少年のリポートでした

#管理人
>B・C型
これで迷ってるのは某MA増刊馬本の無線機システムの図なんですよう。ネタ元になった図をみないとこの本では確定できない気がするんですけど、棒マストに522がつないである。で、棒の後ろの胴体から線がでていて、これを碍子でくいっとまげて垂直尾翼まで張ってて、それが274の線だと。つまり274と522を同時に積んでる図なんですね。 悩むですなあ。米国管制と英国管制の両方に対応してる時期なんでしょうか。

#mayonakaさん
>>274と522を同時に積んでる
その状態も有りだったと思います。というよりそれが標準装備だったのでは無いでしょうか。その場合(英国本土付近を除き)はSCR-522は戦闘時を含む航空機間の通信に使い、SCR-274は機と基地間の通信に使ったと思います。と言うのはVHF波は(現地上波のTVの使用電波ですが) 高度1000mで飛んだ場合地上との通信距離が理論上約90km程度となりとてもP-51の航続距離をクリアできるものでは有りません。-274(中波)は大気間で反射しながら伝わっていくので結構遠くまで飛びます。みなさんも経験あるでしょう夜中にとんでもない距離のAM地方放送が聞こえた事が。では、どうして英国上空では-522だけで済んだのか。それはバトルオブブリテン時に沿岸にくまなく警戒レーダー網を整備したように、VHFの中継アンテナをあちこちに立てて英国本土をカバーしたのだと思います。中波はさっきも述べたように遠くまで届くので、傍受の危険性が有り 又妨害も受けやすいのです。ですので作戦時は(少なくとも機上からは)使いにくく、使っても暗号による簡便なものになりがちです。その点VHFは到達距離の短さと通信の安定性が戦闘時に有効だったのでしょう。
それからもう一つ8AFスレで-274を英国で降ろして-522を積んだ・・・ですが別便でmade in USAの-522を持って来たのでしようか。標準装備から必要無いので -274を降ろしたと考えますがいかがでしょうね。B/Cは過渡期ですから-274のアンテナ支柱をそのまま-522のアンテナブレードにしたとも考えられますね。

─────といったようなことで。
英国を基地として、独逸方面へ向かった第8空軍戦闘機隊のP-51Dに関しては、アンテナ線(空中線)が張られていない機体が多数だった可能性濃厚ですので、模型製作時には実機写真をよくご検討ください、というところ。が、机上の精密感および格好のよさのために、確認できない機体でもあえて線を張るってのもひとつの見識かと思います。at your own risk. では皆さま、Enjoy modeling. (^^)/




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