またしても性懲り無く黒い夜戦ですよ。ヽ(゚∀。;)ノ   なんにせよ相手あってのいくさでございますので、ドーバー海峡の西に黒いのがいれば当然のごとく海峡の東にも黒い機体は存在したわけで。あちらの黒いスピットに対抗して?黒いメッサー@エミールということで。この109E-4、下っ腹に透明カバーを突き出してその中に「Peil G IV」方向探知機をつけてるんですな。多少とも暗夜のみちゆき不案内を補助しようというわけ。まあ数少ない黒いエミールだわ特殊装備機だわという、毎度の琴線に触れる(笑)仕立て。この機のコードレターはグレーではなく赤という説も承知しとりますが、すでインプットされたカラー側面図がグレーだったのでその旧来の考証で(ちなみに「赤」説でいわれる同隊110機のレターが赤だというのも、たしかにそう見える機体もあれば逆に夜戦隊エンブレムの電光@赤とは明暗が違うレターもあったりして、選択の余地はあると思うんですが)。

ちょうどそのグレーのレターをセットした限定キットがH社から発売、これはしめたと思ったら、Peil 装置が透明レジンのムク材でセットされてる罠。orz  そんなアナタ、透明の塊を下っ腹にぶら下げたってねぇ。(^^; というわけでデカールだけ流用ということにして機体本体はT社キット、Peil部は資料も拝見できたので自作ということで。

ただ黒い機体だけでは芸がありゃしませんから(汗)、プラスアルファの添え物でカバー。で、結局使用した材料はというと、

1)本体=タミヤ1/48 Bf 109E-4キット
2)同マーキング=ハセガワ1/48 Bf 109E夜戦キットのデカール(夜戦隊エンブレムのみはイマイチで、72の双発機用別売りから調達)
3)同胴体下Peil探知器カバー=タミヤ1/48 ボーファイターのオデコ部品を整形。その内部にプラ材でアンテナ部を自作。
4)車輌=ハセガワ1/48 BMW327キット(まだ単品未発売時期に着手、だもんでFw190セットから)
5)乗員フィギュア=ドラゴン+ICMの各種混ぜこぜ
6)犬=エデュアルド1/48 Bf 110Eキットのおまけ
7)枯葉=プラスモデル社(チェコ)1/48 オーク、メープル、リンデン各1
8)コルク製ベース&鉄道模型用芝生シート

ということに。この手の全然エコじゃないやりかたは、あまりお勧めできません。う〜ん(悩)。

一番こまったのがこの機体の所属と時期。載ってる資料が3冊あって、全部違うんですもの(汗)。 1)10./NJG1 1940年9月  2)11./NJG1 1942年  3)III./NJG1 1941年  もうね、なんでしょう、これは?(^^;  種々検討の結果、1)の辺りで行くことに。そうすると「英国の闘い」が一段落、果敢なRAFはドイツ本土にもパラパラと爆弾を落しに来たりして、さすがに独空軍も防空に意識が向いてる、特に夜空を守らねばというところでしょうか。配備地がデュッセルドルフであれば、ちょうど独本土の西縁でもあり。英空軍はスピットファイア夜戦の使いにくさに懲りてましたが、独空軍はこの型より後も109の夜戦運用をわりと効果的に続けてますから偉い。でも初期には探照灯の光芒が風防に反射して視界ゼロに近い(汗)とか、まあいろいろあったようではありますが、両軍ともに夜空に目が向いてた40年の秋というところ。

あとは黒で色味のない機体と、対照的にカラーをまとう車とのコントラストを試行したかったんですね。プリラーさん仕様の190+327セットが出たところだったので、そこから車を拝借して独自塗りに(ネット上でレストア実車写真をみつけて参考に)。

↑腹に下ってるのがPeil G IV。透明カバー内に筒状アンテナがあって、それをフィンみたいなのが囲んでるという姿ですが、まあ持ってきたボーファイターの透明部品の厚みを計算してなくてウボアなことに(涙)。これからやろうというかたは、型を作って抜いたほうがヨロシですよ。でもま、透明ムクよりは幾分ともマシでしょ? ダメ?(^^;  

そのPeil装置についてもう少し。これをつけてる109Eは少なくて、例えば「世界の傑作機」No.105メッサーシュミットBf 109パート1の巻頭カラー5ページの上写真がそれ。そこのキャプションには「後部胴体下面にカメラのような装備」とありますが、それがこのPeil装置。その機体は他の角度からの写真もあって、参考文献にあげたSAM出版のModellers Datafileの後ろの方、黒塗り(赤文字)模型作例ページに出てます。んが、どうしたことか肝心の装置が切れる謎のトリミングだわ黒塗り実機とともに小さいレイアウトだわで「?」。書いてるリンさんのサイト(後述)で探せば、もっとはっきりみえる画像がでてますが、代価を払って入手するガイドブックより無料公開サイトのほうが資料価値高いってどうなのかしら。(^^; 誌上での紹介手際がどうも釈然としないのでありましたが、さておき。その写真でも透明カバー内の詳細は不明ですが、そこは頼りになる某達人先輩から貴重な資料を拝見できて幸運。あらためて御礼。資料参照したわりに不正確な再現状況は、ひとえに私の不手際由来(涙)。

あとこの機体は風防前面防弾ガラスありで、操縦席の背後/頭上をカバーする防弾板は外してますな。後の109GやK夜戦にみる排気管部のカバーも無し。ひょいっと水平安定板に置かれた落下傘は、ストラップを板鉛で自作してその「くったり」感と眠る乗員の脱力感をシンクロ。機体の「黒」、ブラックグレーやメタルブラック、カウル色など例によって多色かけてるんですが、もう黒単色にしか見えないし。orz

こっちが主役じゃね?というBMW327。まあ風情のある塗り分けツートンですが、直線部こそマスクしたものの曲線なんかはフリーハンド、筆塗りで(疲)。この車に作業時間を随分とられたのは敗因。集中力枯渇。orz  それでもサイドミラーはたぶん左右対称の角度じゃないよねとか、前席シートって左右で少し前後ずれてるのが自然とか、ウインドウも少し下げましょうよとか、前輪が少しステアしてるほうが雰囲気いいわなとか、それなりにそれなりに。

(当然ながら、以下のお話は全くのフィクションです)

──機側にて──

見ろよ、麗しい祖国の秋、あの鮮やかに色づいた木々を! これぞ彩なす錦秋というものさ。といっても、お前には色が見えないんだっけ。ま、夜空に上がればこっちも似たようなもんだ、あそこには目に付く色なんざ無いからな。そう、パッと花が咲いたような色彩が闇に踊るのは、どっちかがやられた時だけさ。儚く消えゆく一瞬の花火。

せめて昼間は少しくらい色気のあるのに乗りたいと思ってこの車にしたんだが、この青、お前も気に入ったのか? 気に入ったはいいが縄張りの印付けは勘弁してくれよ。これで3度目か? 頼むから幌を開けずに走れなくはしてくれるなって。どうもよくわからんのだが、お前、自分の臭いは平気なのかね、その鋭い鼻で?  しかしまぁ、その鼻みたいに、見えないものでもみつけられるちからがあればな、夜空でも。どうもあちらさんでは猫みたいに夜目の効くヤツが飛んでるとも聞くが、それなら対抗してこっちは敵を嗅ぎ出す犬で行こうや。そうだ、今日からこの機の名前もお前と同じシュヴァンツだ。色も一緒だし、シュバルツェン・シュバンツ。なかなかいいじゃないか? よしよし。 

ああ、いかん、いくさの最中だというのにこの穏やかな午後はあまりに──(欠伸)──少し眠らせてくれ。な、いい仔だから、ちょっとおとなしくして──(欠伸)──なぁ、寝かせろって────

──整備所にて──

「そっちのねじ回し取ってくれ。7番のヤツ。ダンケ」
「なぁ、大尉殿の車のドア、気にならないか? 開けっ放しだと蝶番が──」
「おおかたあのワン公が粗相して、風を通してるんだろうよ」
「ちぇ、またこっちに後始末が来るんじゃねぇか? もう4回目か?」
「まあそう腐りなさんなって。あのシュヴァンツだって可愛そうなヤツさ」
「あのワン公が? ごく普通のテッケルじゃないか」
「ほら、大尉殿が居眠りしちゃってるのに愛嬌振りまいてるだろ?」
「ああ。傍でおとなしくしてりゃいいのにな」
「あいつの前の御主人がさ、3ヶ月前の事故の中尉で──」
「亡くなった中尉か」
「そうそう──えっと、今度は9番のそれ取ってくれ。事故のあと3日間くらい生きてみえたろ?」
「ああ、でも一度も意識は戻らなかったって聞いたぜ?」
「その間あのシュヴァンツがずっと傍にいたのさ。そして御主人様は、遂に目が覚めなかった」
「で?」
「鈍いヤツだな。だから、また今度の御主人も目が覚めないんじゃないかって不安なんだろ」
「それで気をひいてるのか! あいつもこの戦争の被害者ってわけよな」
「だいたいがだ、この内股のお嬢を夜にも使おうってのがそもそも事故の元だと思うがなぁ」
「うむ、これで夜間離発着はなぁ。他隊のお下がり機だし。あ、そこは締めすぎるとかえって拙いぜ?」
「噂の新型だとさ、脚がぐっと広く踏ん張ってるそうだ。それなら夜も善さげだが──」
「そりゃお前、夜は脚開いてるほうが乗りやすいに決まってるだろうが」
「──なんの話だよ? ケーニヒスアレのあの娘か? ったくもう。おっと、冷却液が!」
「あああ、だから! 厄介な方向探知機の調整がまだ済んでないっつーのに余分な仕事増やしやがって!」
「Verdammt! 犬も飛行機も漏らしやがるってか! VERDAMMT!!」

<以下は蛇足な註>
*犬族が視覚で色彩を感じない、モノクロ世界を見ているというのは過去の定説。現在では様々な実験結果から、少なくとも若干の色彩識別はできるとの説が優位。

*シュヴァンツ=「尻っぽ」のこと。 テッケル=ダックスフント(独での呼称)。


途中でワン公の位置は車の中じゃね?とのお話もあったんですが、姿勢・高さの点で少し無理が。すると眠るご主人の傍で愛嬌してる必然を作らなきゃならない。さあたいへんだ(汗)。ということで上記のような次第。デュッセルドルフとの配備地特定が出来上がり間近で、さてその地でメープル/リンデン/オークの落葉が舞うのは何月? 気温は? など不明で勢いのままに。ついでに会話中に登場してほしい「通り=シュトラッセ」も、最初は今の日本領事館があって日本人街のようだというインマーマンシュトラッセと書いてたんですが、なんかイマイチで変更。(ちなみにインマーマンはインメルマンとはつづりが違いますので念のため) 

いったん芝生シートにつけたワダチ(飛行機と車の両方)は、シートがあくまでイメージ優先でリアル仕立てじゃないため、不自然なあまり悶えましたので(汗)、却下してやりなおし。落ち葉も1枚1枚、結構考えて配置していったんですが、まだまだでしたなぁ。最後の工作が車輪止め。ルフトヴァッフェの車輪止めはどうやらパカッと開く折畳みタイプが多いようで(何種類かある模様。ひょっとして探せばネット上でも現物入手可能だったりして?)、そのひとつを参考に。こいつの色がわからない。(^◇^;)  明らかに明色と思われるのがあるので黄色にするかと思いましたが、それだと主張が強すぎて全体の調和を乱す(笑)んですな。だもんで暗赤で。あと配置の時に車の鼻先をこっち向けるというのも考えましたが、ドア位置が逆になるのと、これまたあまりに車が主張しすぎて主役になっちゃうので尻をむけておきました。なんせ一応はヒコーキ屋なもので。うへぇ。(^^;

タイトルなんてアナタ、単に後のシュレーゲ・ムジーク@斜め銃にひっかけて、前哨戦的な夜空の様子を「Eine Kleine」でひとつ。「あのね、暗いね」で夜空という話は置いといて。ほんとは芸術関係ならデュッセルドルフだとシューマンやゲーテを持ってきたほうがより好適ではありましょうなぁ。

いずれにせよ、やがてFw190やメッサーのG、Kなんかを夜空で有効に使うようにはなりますが、独夜戦の主力は110や88といった双発機が担うわけですから、この夜戦隊初期における黒いエミールは幕間をちょろっと飛び抜けた程度ではあったのでしょう。欧州の夜空が丁々発止の電子戦により、せめぎあう敵味方双方のレーダーが発する大量ウェーブで夜鷹も焼き鳥になったんじゃないかという時期に向かう前、ある一時期の点景というところではあります。

とまあ、毎度ながらの御粗末様でした。m(_ _)m

<参考文献> *今回の機体に限定。109E全般については省略です。

1)Modelart No.544(1999年9月号);モデルアート社
  老舗月刊誌の巻頭特集が「WWIIの夜戦 独空軍編2」で、側面図塗装/マーキング解説に黒いエミールも。グレー文字の考証。

2)Messerschmitt Me 109 Vol.1 From 1939 to 1942;HISTOIRE & COLLECTION社、PLANES & PILOTシリーズ、2004年刊  
  ISBN 2913903088
  カラー側面図をずらずら並べて、模型制作意欲をかきたてる(笑)シリーズの1冊。グレー文字の考証で機体はブラックグレイとも。

3)THE MESSERSCHMITT Bf 109 Part1 Prottype to 'E' variant;SAM Publications、MODELLERS DATAFILEシリーズ9、2007年刊  
  ISBN 0955185807
  SAM出版からのモデラーのためのガイドブック的シリーズ。↑記事本分中で少し触れましたが、作例もあり。

↑この3)を書いてるかたのサイトが→ http://109lair.hobbyvista.com/

(2007年12月18日 初出)



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