空からの災厄、地上攻撃専用機の系譜をひも解きますと、それはおそらく第一次大戦におけるユンカースの金属機などに行き着くかと思うのですが、およそ現代の戦場にもみるような対戦車/対地上目標攻撃を主な任務とする機体の進化樹系図において、その本幹ど真ん中近くに位置するのが本機かと。

ある程度の装甲を施して敵対空砲火に備え、できれば双発以上として生き残りの機会を増し、決して高速ではないけれど軽快に戦場の低空を舞える機体。武装は時により、変に応じて選択肢に富むことも肝要で、荒事に耐える信頼性、耐久性のある機体ということになりますな。ここで、じゃあソ連のイリューシンはどうなのさ?という声が上がるのは当然ですが、単発/複座という点では現行の子孫とは少し別の線で、むしろ彼女らは対地攻撃ヘリへと進化したかの印象。さておき、なんたって双発の武骨な機体に各種武装をとっかえひっかえ、敵戦車に狙いをすましてひらりと舞い降りるHs 129の姿ってのは、他のなによりもあの米空軍A-10攻撃機への濃い血筋を感じさせるところでありましょう(30mm抱えてるし?←単純すぎ)。

ただ本機、惜しむらくはエンジンがちょいと非力かなと(汗)。戦闘機用のDBやBMWやJumoは使わず、占領フランス由来のノームを使うというのは、リソースの適切な配分としては合格なんですがね〜。惜しかったかも。それでも、機体規模や運動性能を考えれば、これが意外にもっとも使いやすい機体構成だったのかも知れませんが。

ハセガワ48のキットを使いまして、砂漠迷彩で行きましょと決めて作業開始。B-1だったら砂漠塗り指定の限定キットもあるんですが、前からやってみたかったマイアーさんの青のゼロ+三角旗機は製造番号からするとB-2だろうということで、B-2、B-1両方のキットを用意して(B-2でも時期により機首部やアンテナ柱、排気管等々相違点が複数あるので要個別確認)適宜デカールなど配分(一部はマスクして塗り)ででっち上げの心。

各動翼部に動きをと思い、バーリンデンさんとこのレジンパーツも用意はしたんですが、なんと全ての舵面がキットより一回り小さい(涙)。仕方なく、切り飛ばしたキット部品をあらためて整形しなおして使用です。レジンで使った部品はコックピットの一部側面部品と排気管、照準器のみ。効率わろし〜。orz

さて、マイアーさんですが、この第2地上攻撃航空団第4中隊は、本機を装備して北アフリカはトブルク近郊、エル・アデムで作戦行動を開始したのが1942年の11月。12機の装備数に対して実働可能機4機(泣)とかいった、主に発動機に由来したであろう低い信頼性をもよく耐え、初出撃でいきなり英軍戦車12輛を破壊したともいいます(驚)。東部戦線等でも磨減るように消耗していった機種ですが、もうちょい良いエンジンをつけてやりたかったような気も(仮想戦記的なら、我が栄エンジンなどつけてみたいですネ)。ちなみにマイアーさんのほうは、北アフリカ以後も戦塵をくぐり抜けてツィタデレ作戦時には部隊を率いて味方の窮地を的確に救ったりもしつつ、500回以上の戦闘飛行を生き延びられた由。

ラダーには個人スコアが。白いバー2本と赤いバー1本で、撃破2輛に完全破壊1輛というところでしょうかね(まさか撃墜スコアではありますまいな?)。めだつアンテナ柱は、JWさんから戴いたカーボン材を削って使用。軽いわ丈夫で変形しないわのスグレモノ。アンテナ線自体は黒のストッキングほぐし糸。もうひといき大きくてもよかった青い三角@自作、布旗ではなく金属板の隊長印とのこと。 (ハゲシク余談;この三角の隊長印をみて思いつき、ネタに使おうとMS-06Dのアクションフィギュアを調達したけどサマにならず却下したのはナイショ)

ひょっとするとエルロンなんかはもっと主翼と隙間が開くかもですが、強度的な問題もあってかなりベタ付け気味。

迷彩は、砂色の筆調子の上にエアブラシのフリーハンド塗りでオリーブグリーンのスポットを。これが周囲に飛び散るわ、下地の筆調子を消したくないので手当の砂色吹きはできないわで往生こいたのが今回最大の敗因。orz さらにスピナの塗り分けがちっともすっきり決まらずだったのも敗因。ウボアー

メイン塗料はいつものクレオス。砂色自体はサンドゲルプを明るく調整して基本色に、そこへ未調整の同色やヘンプを使って調子つけ。画像では黄色が勝ち気味ですが、それは砂嵐のせいで(?)、伊太利機の類似色よりもかなり赤みのある色調ですな。オリーブグリュンも未調整色と青をかなり添加したのとで適宜。下面は独逸機用のライトブルー系3色全部使用。(^^;

機首の白塗りと記章の有無は確認できず勢いで(←おい)。スピナの塗り分けも同じく。数字のゼロと白いシェブロン、胴体帯、主翼端下面、機首を白く塗った以外は黒十字や注意書き等、キット付属の(カルトグラフでもない普通のヤツ)デカール。ソフターを軽く使えば立派にしっとり食いついて、ちゃんと使えます。微妙に白が透けるのもいつものことなんですが、こんな風に明るめの砂色下地だとかえってその透け具合がしっくり馴染んでいい感じ。逆にベースホワイトで塗った胴体帯と機首の真っ白が不自然で、少し汚して明度を下げました。(^◇^;)ソンナコトモアル

ホントはエンジンのタイプが違ってて、ギアハウジングの形状もキットのとは異なるよーな気配ですが、スピナで全部隠れちゃうのでそのまんま。わははは。

先の余談に書いたモビルスーツの件、すでに本機の作例記事(スケビNo.28)でも言及されてますが、この機体はなにしろ照準器や計器の一部まで操縦席の外に放り出してるくらいですから、ヒジョーに狭いコックピット。乗降のためにリクライニングするらしきシートも、乗り込むと背もたれをぐっと起しまして、ほとんど「乗る」じゃなく「着る」状態になっちゃう操縦士氏なんですね。前面の厚い防弾ガラスと背もたれの装甲板にピッタリ挟み込まれたような窮屈さで戦闘飛行(疲)。ホント、モビルスーツ的。そのぶん、手足のごとく操れたら、武装外してエンジンも快調な機体なら、ただ純粋に飛ぶことに徹すれば、かなり楽しい機体じゃなかったのかしら。戦場におけるフル装備の実機は、視界は良くないわ動きは鈍いわとかなり難物だった模様ですが(汗)。

↑空を見上げる乗員(フィギュアはICM他の切り貼り)の襟元に光るゴーグル(形状が出せずに光らせてごまかしてるだけ)、彩度を落してオトナの雰囲気な画像など。うは。抱え込んだ30mmも、この初期型ですとMK 101で、初速もアレだし使いにくかったでしょうなぁ。戦車の側面や後面狙って接近して、標的の装甲に直角にあたるように、ドカドカッと撃たなきゃですから。しかも30mmの弾数は30ほど(少)。でもその機関砲をはじめ、機銃多連装(MG 17の4連パック)やでかい対戦車砲(BK 7.5@75mm砲!)や、あるいは様々な爆弾など多彩に搭載して戦ったのも、これまた武装を柔軟に変更できるモビルスーツ的ではありますな。あ〜、そっけない主翼の爆弾架も少しいじったんですが、見えね〜(汗)。

さて、少し前から添えるフィギュアの首をいじって、空を見上げるような感じにするのがデフォルトになってきてる私ですが、たぶんヒコーキに関わった人々ってのは、一般人よりずっと空を見上げる機会が多かろうと思い、その姿勢で空間の拡がりが出せたらなと調子よく思い込んでのことで(汗)。ところがアナタ、なんととんでもない人物が、それに近いことをスパッと書いてるんですね、人類の飛行以前に(驚)。そのひとはと言えば、あのダ・ヴィンチ。うへぇ。というわけで、ホントは伊太利機のネタにすると良かったんでしょうが、先に「缶切り」ネタを看破されて却下(笑)、砂漠仕様モビルスーツネタもイマイチで却下したとあっては、もうここで投入〜という次第。御容赦。あ、もちろんレオナルド先生は伊太利語(しかも裏文字?)で書かれたんでしょうが、わたしゃ読めませんし英訳の文しか知らないのでこれまた御勘弁をば。(^^;  (草稿は、学研の『大人の科学』付録より)

そんなことで、今回も御粗末様でした。m(_ _)m

<参考文献>

1)Henscel Hs 129 (Military Aircraft In Detail);'06年、Ian Allan社/MIDLAND社刊、ISBN 1-85780-238-1
ハード面ではこれぞという1冊。写真も大きくて見やすい仕立てが吉。ハードでは他に航空ファン誌上に国江先生の記事が連載でありましたが、下手に読むと腰がひけちゃって模型を作れなくなる恐れもあるのでご用心。(^◇^;)

2)ドイツ空軍地上攻撃飛行隊(オスプレイ軍用機シリーズ43);'04年、大日本絵画社刊、ISBN 4-499-22838-7
おなじみオスプレイのシリーズ、訳本。和訳は名にし負う阿部孝一郎氏ゆえ、安心。ただしもとから全ての地上攻撃部隊の総覧本なので、Hs 129のみとはいきませんが。

3)Hs 129 in combat;'02年、KAGERO社刊、ISBN 83-89088-15-0
おなじみとなってきたカゲロウ本の1冊。おまけのエッチングパーツもついて、カラー側面図もなかなかですが、惜しむらくはポーランド語と英語の二カ国語表記にスペースをとられて?写真がどれも小さめですな。

4)ドイツ空軍爆撃機 1935-1945;'06年、文林堂刊、ISBN 4-89319-142-X
写真、戦歴、イラストまじえての、ざっと解りやすい記載が吉。この手の和書をベースに、洋書で要所を固めて大吉。←洒落かい

(2006年12月7日 初出)



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