ドラケン、この機種もとても魅力的なカッコ良さを持ってますので、一定のご贔屓筋といいましょうか、人気のある機体。しかし今回は某多国籍傭兵空軍隊とか、某地球防衛軍の合体スーパー機とかのお話は略ということでひとつ。(^^;

今回の切っ掛けは、ドラケン本をみてたら初期型の銀肌姿がまぶしくってですね。最後期になるとグレー迷彩、それまでは長い期間を濃色で森林系迷彩に身を包んでた機体なので、銀肌が新鮮に思えたんでしょうな。そこでめくったのが旧版の世界の傑作機。その中に、カラー写真で数少ない銀のFをみつけまして。しかもしっとりと雨に濡れた風情がステキな一葉だったもので、その姿を定着するべぇとなった次第。

そう思って機体の作業を進めていますと、偶然にホームセンターである卓上ミラーを発見。枠が木肌、サイズも手頃でベースにぴったり。んじゃ鏡面を活かして水たまりにして、反射で機体の裏を、その横に水鏡とみたてて雨上がりの虹と青い空をはめこんでやろうという目論見。←強引そのもの

空軍基地の駐機場に、巨大な水たまりなんぞ無い、よって鏡面を活かすほどにはレイアウトできないと気付くのはずっと後なわけですが。ヽ(゚∀。;)ノ   その雨後の鏡面反射?ベース、某О教官から「レオポルドビル@コンゴ国連軍に出たテュナンなら」使えそうなネタですわなぁと示唆を頂戴しましたよ。まったくだ〜。迂闊(汗)。

ま、明るい木肌に多少は北欧のイメージを助けてもらいつつですね、なんとかなるでしょ、なるといいなぁの皮算用ではありました。うひ(汗)。

このドラケンという機体、それまでジェット機でもランセンやテュナンといった比較的まっとうな(?)、コンベンショナルな形状の機を送りだしてたSAABが、スウェーデン初の超音速迎撃機とするべく突然として放った、ある意味でミュータント的な機種なんですね。そこまでのSAAB機の正常進化にあてはまらない形、いわば斜め上(笑)。およそ第二次大戦後の航空先進国がいずれも旧ドイツの影響を多かれ少なかれ受けているとはいうものの、それでも超音速への過程では困難と苦闘があり、超薄翼や三角翼や、その複合やと各国悩んでいるわけです。米英ソ仏、いずれでもないスウェーデンが、そこで突如ダブルデルタを生みだす不思議。これを翼の系図における貴種といわずしてどうしましょうか。その先に来るヴィゲンにしろグリペンにしろ、それらは全てこのドラケンあってこそ、ダブルデルタから順当に派生していく機体なわけで。ドラケンのあとには追随者が多数でますが、ドラケンの前には何者もいないという印象。

さすがに初の形ですし、初の超音速機ゆえ、SAABでも縮小形態のテスト機をつくって飛行データを集めてはいますが、それにしても当時としては隔絶の翼。想定された運用形式もかなりのもので、当初はこれまたあのルフトヴァッフェの小さなロケット機が行ったのと同じく、すっとんで迎撃の後は滑空して!帰還するという目論見。もちろんその方式はより通常のパターンへと変化するんですが、当初想定の悪影響は機内燃料の少なさとしてこの機種の影とはなったようです。もっとも、その表裏としておそらくは機体の小型化が可能になったんじゃないでしょうか。

さて、そんなことで、ぎゅーんと上昇して任務を果たし、滑空して帰還するという、源流をみればそこにはドイツのコメートがいて、逆に流れの行方をみはるかせば、なんとNASAのあの機体が見えてくるという機体なのでした。しかも後者にはさらなる共通点が──。

いろんなことを考え合わせますと、この機体は単に「かっこいい!」だけじゃなくってですね、もっと航空史の上で重要な機であるとの認識をされてもいいように思います。

さて、使用キットはハセガワ1/72。外形良好、胴体後部に隙間と段差がでますが、事前の仮組みとすり合わせで軽減可能。オーライです。それよりも、キャノピーが自分のイメージより若干ぽっこり気味で、ウインドスクリーンをもうちょっと後ろへ寝かせてやらないと、天蓋から機首への流麗なラインが折れ線の印象で個人的には少し不満。最終段階で気付いたので、実はキャノピー部がまだ仮止めざんす。(^◇^;)  ウインドスクリーン下部を少し削って、可動部は開いてしまえば改善されそうな予感。 ←その後キャノピー部品を乗っけて数日、眼が慣れてしまうとそれほど気にならず

F型ともなりますと銀肌機はたぶんごく稀。でも前期のタイプにしようと思えばキャノピーやセンサー類や胴体後部や装備品パイロンや、いじらないといけない個所がかなり多いので悩みどころです。複座型もおもしろいんですけどね。

黄と黒の塗りがよいアクセントになる搭乗ラダーは自作。電源車とおぼしきカートも米軍用機材セットから切った貼ったででっちあげ。舗装された地面は耐水ペーパーそのものに黒い瞬間接着剤でメジを表現、スモーククリアで濡れた印象に。あとはくりぬいて水たまりを。ところが耐水ペーパーの厚みくらいでも、結構気になるんですね。しかもガラス鏡なので、余計に「水たまり」が深く見えちゃう罠(汗)。

ラダー上部には車輪がついてるようで(たぶんコロコロ転がして地上員が引っ張っていく)、これも非常時には道路なども滑走路として利用するスウェーデン空軍ならではの仕様かと。写真をよくみると、補助器材もほとんどが人力で移動できそうな気配。

↑時折つかう「逆光」描画などの加工はしてない画像ですが、いつもの塗りで尾翼がこの程度には光を反射しますな。ちなみにF10ウイングのグリフォンヘッド印は、自動車のSAABでもお馴染みですが、スウェーデン南部方面の防衛力の象徴みたいなものらしく。そのクレスト/エンブレムはキット付属のデカール、他は Flying Colors Aero 社のスウェーデン機用シートで。機体のコーションデータはキットのものを少しだけ(この47番機はほとんど記入されてない)。

しっかり身が詰まった感じの後部胴体に納まる心臓は、英RR社エイボンのライセンス生産からさらに発展させたタイプで、本家より強力とか。ぎゅっと高性能を詰め込んだ小柄の機体、ちょうど対抗にあたるフランスのミラージュIII系と似た空気もまとってますな。

以下は例によってのアレでナニな作り話。

〜'69年、スウェーデン南部、王立空軍エンゲルホルム基地〜
さて諸君、タワーからの情報では間もなく気象状態は回復するとのこと。たしかに雨雲を散らす風が旗をなびかせつつあるな。アダム、訓練再開までしばし待機してくれたまえ。それともバーティル、飽きもせずに『人類にとっては大きな一歩』のニュースを見るかね?
そうそう、この時間を使って他国から遠来の御同輩に、風になびく我が国旗の伝説を教えてさしあげてくれないか、ダヴィド。そう、時は12世紀半ば──

──カクテ両軍勢ノ対峙スルコト数刻、英邁敬虔ナルえーりっく王、御神ノ恩寵ヲ願イ、天ヲ振リ仰ギテ祈ルニ、見ヨ、蒼穹遥カニ翔ケユク大イナル黄金十字ノ光明、燦然ト輝ケルヲ。ソレスナワチ紛ウ方ナキ天祐ノ徴ナリト、味方勢コゾッテ喚キ上ゲ、怒濤ノ如ク駆ケユキテ、ココゾトバカリ、敵大軍ヲ一息ノ間ニ撃チ破リケリ──

──かくして勝利をおさめた王により我が国は統一されたのである、というわけなのさ、エリク。そういえば君のお国の旗も同じく十字をあしらってたな。いや、数あるスカンジナビアンクロスの本家、世界最古の国旗こそはそちらの赤地に白十字だったか。これは失敬。さて、ちょうど雨もあがったようだ。なんと、おあつらえに雲間からの陽をあびて、虹までかかってきたじゃないか。よろしい、ではただいまより迎撃訓練を再開する。飛行隊全力、可動全機緊急発進。ただちに基地上空で編隊を整え、洋上であの虹をつっきる。かかれ! さっさと上がらないと虹が消えちまうぞ、急げフィリップ! 

〜30年後〜
──それで、あの月面着陸から12年後だったか、アメリカ人め、今度はシャトルを飛ばしはじめた。あのコロンビア号が最初に帰還した時の映像を覚えているかね? 陽炎に揺らめく大気の中を母なる大地目指していっさんに滑り降りてくる巨大な機影。その姿、その翼形をみて私は驚いたものさ。なんとドラケンのやつ、宇宙まで行っちまった!

少し見ない間に多少太ったようだったが(笑)、その点はこちらも御同様。あの'69年の夏、隊の連中のうち幾人かは宇宙へ、月へ行きたがってたが、なんの、我らが愛機までもそう願っていたとは。いやまったく、それにしてもJの35は素敵な飛行機、生粋のスポーツカーだったよ。あいつなら宇宙へ飛びだしてもなんの不思議もないね。私は今でもそう思ってる──

<参考文献>

1)旧版 世界の傑作機No.65 「サーブ35 ドラケン」;'75、文林堂刊
この本の中ごろに、今回の47番機のカラー写真があったですよ。それがはじまり。

2)現行版 世界の傑作機No.77 「サーブ35 ドラケン」;'99、文林堂刊
でもって新版。前の版から20年以上経ってますから(汗)、より近年の姿が主体。ドラケン資料では基本の一冊でしょう。↓エアワールドの記事を書かれた浜田さんが、こちらでもメインの内容を。

3)エアワールド誌No.185 エアモノグラフ サーブJ35 ドラケン;'92、エアワールド社刊
おなじみ航空雑誌の単機特集記事。これがとてもわかりやすくて、本機種を理解するには最適かと。この浜田さん記事でも本機がその特異な外形ばかり注目されて、航空技術史における重要さを認識されてない気がするといったことが書かれてますな。

4)SAAB 35 DRAKEN Scandinavian ' Cold War Warrior';'97, Airlife社刊、ISBN 1-85310-729-8
蛇の目機でお馴染みのエアライフ社による、ドラケンの美麗カラー写真集。空撮も多数使って、就役末期のこの機体を、本国からオーストリア、デンマーク、フィンランドと追いかけて鮮明に記録。J型などやってやろうという方には必携かと。もっとも、オーストリア機の姿はネット上でも大量に出てますので、そちらもあたられるが吉ですね(Airliners.netなど)。

(2006年4月11日初出)



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