3.11という日付を特別のものにしてしまったあの大災害。大津波に打たれた翼の画像↓に接して、その機が修復リストにあるか否かは不明ながら、机上で復帰させてしまおうというところ。もうひとつの意図は後述。

↑作業経過中の図。後ろの写真がそのもの。別売りデカールで伊達政宗公を大きく垂直尾翼に描いた姿のも確保はしつつ、やっぱり素の姿がいいやということで。

天蓋は閉じるつもりが少し風防との合がイマイチなのと、後席頭上の膨らみがやや不足という感触で開くことに。内部は手際悪く工作追加(汗)。ピトー管とセンサーはファインモールドの金属製。機体外表はいつものエアブラシ+筆にリベットルーラーで。

脚回りも糸ハンダ等で、てけとーにコード類を追加。
テイルパイプの金属感は6Bの鉛筆使ってみがきあげ。各翼後縁の雷除け放電策はナイロンテグスで置き換えるもポキポキ容易に折れてウボア。垂直尾翼前縁の突起部はピトー管等のセンサーではなく、空中給油受油口を照らすライトが仕込んであるそうな。

さてもうひとつのネタというかは、以下のごとく。高濃度毒性要注意。

2011年10月5日 朝日東京版  読者投稿

 津波に逃げ遅れる戦闘機では  無職 本田忠宏(東京都大田区 69)

防衛省が、航空自衛隊松島基地(宮城県)でF2戦闘機18機が津波で被災したとして
修理費など1090億円を第3次補正予算で要求した。あきれた。 18機のうち12機は処分し、6機は修理に800億円かかるという。1機110億円で購入した
機体の修理費は、新品の購入機を上回り1機130億円もする。結局、被災で12機分の 1320億円が消え、6機の修理費が800億円かかる。さらに、そのための分解調査費として 136億円がかかった。M9.0の大地震発生から津波が来るまで最低30分はあったであろう。その間になぜ、18機は 他の航空基地に退避できなかったのか。津波の情報がなかったとでも言うのだろうか。 全てにおいてあまりにお粗末ではないか。そんなことで敵の襲来にとても対処できるとは思えない。
当時、基地の幹部たちがどう判断し、行動したのか。どこに問題があったのか。検証も反省もなく、 臆面もなく予算要求する感覚がわからない。 当時の松島基地の責任者や北沢俊美前防衛相、一川保夫防衛相はどう責任をとるのか。 国の守りを危うくする無能者は直ちに去れ、といいたい。

という投稿があって。この内容だけでも、スクランブル待機でもない教育隊の機材ゆえに発進させるにはただでさえ燃料注入や最低限の機体点検が必要、その上あの大地震直後とあっては、滑走路状況の安全確認と燃料やガス等可燃物/危険物の漏出の有無についても確認なしでエンジン点火すれば大変なことになる、ましてや20分で津波襲来という報が来てるわけで、発進が間に合うわけもなく。しかもそれを18機いっぺんにやれってか(笑)。↑この投稿日付をみれば、ようやく批判できるだけの余裕ができたというべきで(笑)、それにしてもあまりにも知識が無いわ低劣な「批判のための批判」にしか見えない感。文章の根底にあるのは、まるで戦時の「赤紙1枚で集められた兵の命なんかより兵器のほうがずっと大切」的な発想かと。異様でしょう、それって。自衛隊員は生命に替えても兵器を守れ!ってか。どんだけ時代錯誤なんよ。

さらにいけないのは、この読者投稿をネタに朝日新聞本紙が記事を書いちゃったことで。

2011年10月14日付・朝日新聞天声人語欄
壇ノ浦で平家が敗れた1185(元暦2)年、京都で大きな地震があった。近年の調査によればマグニチュードは7.4程度だったらしい。山は崩れ、地面が割れ、家屋がことごとく潰れる惨状を、鴨長明が「方丈記」に書きとめている▼そして、「羽なければ、空をも飛ぶべからず。竜ならばや、雲にも乗らむ」と恐怖を記した。今回の震災でも、空へ飛んで逃れたカモメをうらやむ声を、直後に訪ねた被災地で聞いたものだ▼一方で、「羽があるのになぜ」と思わせたのが、宮城の航空自衛隊松島基地で津波を浴びた戦闘機である。1機110億円で買った18機が水没した。うち12機は処分、6機は修理されるが800億円かかる。「お粗末」という投書が先の声欄に載った▼被災機が修理可能かどうかを見る分解調査だけで136億円かかった。これだけで、あの凍結された公務員宿舎の総工費を上回る。あれやこれや計1090億円を防衛省は第3次補正予算に要求した。羽が生えたように血税が飛んでいく▼離陸には時間がかかり、間に合わないとの判断だったという。無理をすれば人命も危なくなる。それは分かるとして、これだけの損失と出費を、気前よく不問には付せない国民も多かろう▼予想される津波にハード、ソフトでどんな対策を講じていたのか。よもや「想定外」ではあるまいが、ならば不作為の責任はなかったか。次期戦闘機という総額1兆円規模、ピカピカの買い物の前に、進んでの検証と開示が欲しい。

↑これを読むかぎりは、この天声人語氏って新聞社の中の人間であるにも関わらず、読者投稿の内容について取材確認もせずに丸呑みして書いてますな(笑)。「真実の報道」というのがキャッチフレーズな筈の紙社で、それはどうなのというお話。当該基地はまだ対応不可能としたって、せめて航空自衛隊の公報に話を聞いてから、当時の松島基地の状況を把握した上で書くべきでしょ。これじゃあ自衛隊という反論をしてこない相手に対し、一方的な批判をぶつけて(しかも相当に御門違い、知識/勉強不足)正義漢ぶってるという、まあいつものスタイルなんですが。しかし読者投稿をネタに書くというあたり、なにしろかつて「朝日新聞珊瑚記事捏造事件」の本家ですから、そもそもこの投稿者氏自体本当に実在するのか、この紙社の自作自演かも?などと勘ぐられても仕方のない前科ですしなぁ。そして「損失と出費を国民が許さない」というのなら、この紙社のおかしな報道で失われた(今も継続中)な国益の損壊をどう始末つけるんだというやつ。いや、その前に戦争へと当時の国民を煽った件について、きちんとしなよと。全然進歩していない。

この震災&津波当日の松島基地における状況については、SCALE AVIATION誌に「ツバサノキオク」(主にNOV.2011号の第2回。杉山潔氏記事)に、きちんと取材に基づいたお話が出てて。空自の救難隊というのは、その性格(戦闘救難込み)から他の隊(警察、消防、保安庁等々)が飛べないような悪条件でも救難に向かう「最後の砦」であること、震災当日当該時間帯は降雪による視界不良と雲底高度の低さから、その空自救難隊でさえもが発進不能な天候であったこと、その上さらに大揺れの後で滑走路状況皆目不明であり固定翼機は到底出せず、津波到着予想時刻までの短時間@20分間に可能なことは極端に限られていたこと、それでも津波後に各員救難や支援に補給にと八面六臂の活躍(当然隊員諸氏は被害があったであろう自分の家族は二の次で)、個人装備を携えて退避した救難隊乗員は、後刻他基地で全国から集まった機材の運用にそのまま搭乗でき、任務にあたったことなど、ちゃんと出てるわけで。この雑誌の発売がちょうど↑朝日が出た日の前日ですがな(笑)。「真実の報道」をうたい、速報性も要な日刊新聞が隔月刊の模型雑誌に情報取得で思いっきり負けてるというものすごい無様さ。加えて機材をやられたのが他では替わりの利かない練習機運用隊であり、その極めて機体数の限られた機種そのものが逝ったんだという事実も全然無視してるか理解してない。そう言えばきっと「そもそもあんな津波危険地域に基地を造って貴重な機材を使ってるのが悪い」と屁理屈をこねるんでしょうが、じゃああんたらその危険性を解ってて事前に指摘・警告したことがあるのかよ?と言いたい。例によって後知恵で愚にも付かないことばかり、自分や身内にはとことん甘いくせに批判相手に対しては常に誤謬の無い神のごとき完全さであることを要求する、こんな御粗末な紙がいまだに全国紙として存在を続けて恥じることが無い、あまつさえ受験の問題にその「天声人語」欄がよく用いられるなど、噴飯物です罠。「恥知らず」ってわかります?、読めますか?という域。ゆえに、なんの根拠もない批判のための批判で正義漢のコスプレしてるような輩は相手にすることは無い、華麗にスルーでOKというお話。それにしても、投書と記事の双方ともに低劣すぎのひとこと。そして双方その低劣さの自覚がないもんだから、大上段に振りかぶって「言ってやった!」式の上から目線&自称国民の代弁者(笑)文章になってるのがもう痛くて痛くて。

追伸;当日の基地状況がどうだったか、さらに上記杉山潔氏が情報を追加されていて。SCALE AVIATION Vol.84(2012.3)の「ツバサノキオク」、そして航空ファンNo.712(20122.4)の「航空救難団活動記録第4回 松島救難隊は沈黙したか」の記事を参照。根拠の無い批判投稿やそれをネタにした新聞記事とは違って、格段に的確な取材に基づく「真実の」記事ですゆえ。

そんなことで、絶対に反論してこないであろう相手に対してこれほどまでに低劣な批判が許されるのであれば、こんな奇妙な形で(笑)逆に応援してしまうのが居たっていいだろうというのが今回。

模型工作としての本キットは、インテイク内部に段差が大きくでちゃうのをどう防ぐかが課題で、そのためには念入りな仮組みとすり合わせ、組み立て手順の変更と工夫が必要なんですが、わたしゃ見事に段差作りました(汗)。どうしようもないので半ばスルー。参考図書にあげてあるMA誌には、ちゃんと対処方法が書いてあるんで参照あれませ〜。レドーム側面の雷除け(凸モールド)は、合わせ目を消す際に消えやすいんですが、それを残そうとすったもんだしたあげく結局削って再生という最悪の手際悪さに我ながらウボア。orz それと、主翼後縁のフラップは少し下げましたが、ほんとはこんなに隙間は空きませんから適宜調整されたし(逃)。

あ、トップ画像の折鶴、このサイズですと多少ピンセットを使ってもきっちり折るのが意外に難しく(汗)、エッジの鈍い代物になってて御容赦。気は心ということで。

といったところで。Take you backというのは、映画ロッキーの3でしたかで流れていたあの曲が発想の元ネタ。どうか翼に、そして困窮のさなかにみえる方々に、今年は良い風が吹きますようにと。

m(_ _)m

<参考文献>

*モデルアートプロフィール7、航空自衛隊F-2戦闘機;MA No.797、モデルアート社、2010年刊
1冊だけというならこの本。実機解説から細部写真、模型作例までひとまとめでオーライ。

 

*航空自衛隊F-2;イカロスMOOK イカロス出版、2010年刊
こちらは実機と部隊、運用等中心。活きてる写真はやはりオーライ。

あとはネット上の画像が豊富なんで、適宜。

(2012年1月4日 初出)



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